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    タイ旅行、後日まとめ記【6月30日】~7 修正版






    (1451字)
     さて乗客を順に紹介します。まず2列目左端は小柄な中華系のお年寄り女性。
     彼女が伸ばした手は斜め前運転席の肩口へ置かれ、始終革の表面を小さく撫でたり何かの調子でも合わせるみたいにポンポンと軽く叩いたりしていたのでした。運転手は、彼女が次々と振る話の大方には曖昧に頷いたり短く応えるだけでしたが、別に煩がったり適当にあしらうふうではなく、時々はちらと肩越しで自分から話しかけたりもするようなのですね。現地の人かは分かりませんが「旅行者」特有の背筋の伸びた(または張った)雰囲気はなく、利用しなれている感じはあります。
     ひとつ右隣りの、ヘッドレストに頭を預け眠っているであろう初老男性もやはり中華系の人かなと思い覗きこむと、まず色白な顔の細長い輪郭に薄いオレンジがかった金髪が撫でつけられているのが目に入りました。こざっぱりながらも悪くない身なり、そして彼が西洋人だったことで正直に言って二重に私は驚いたのでした。乗り合いバスは快適とは対極にあり、年齢も年齢なので少しでも懐に余裕があるなら……まあ事情があろうとなかろうと余計なお世話ですね。
     ところで、一旦その場へ馴染みきった初老の西洋人男性を認めてしまうと、変な、ではなく自然な思いが沸き起こってきたのです。
     つまり、よく見ればというと失礼かもしれませんけれど、後姿は隣の女性と同じく小柄で背中も丸くなり、席を近くにする二人の感じは端から真逆のように見えつつもなんとなくしっくりする、まるで夫婦みたいだからなのです。もちろん彼らは本当にそうであるかもしれませんが、当然に知りようがありません。

     何故にそう考えたかと言いますと、一番右に座っている女性は一般的な大陸系よりもいくらか骨格のしっかりした肩や顔をしていて、特に横顔からの鼻や顎の印象で二人の娘ではないかと思ったからでした。外見諸々からハーフではないかとの勝手な想像。たまに、老夫婦らしき男女に笑顔を向け短い会話を交わすときなどは、随分と気兼ねのしない態度だったのです。
     娘かとも思わせた女性はよく見るとまだ若く、20代後半から30代に差し掛かるかといったところで、年齢的には娘だとすればちょっと若いということになりますが。
     その女性はなかなか特徴的なところのある美人なのでした。少しきつい印象のする目は若干釣り上がっても見えましたが、意志の強さを示す如くぴたりと真一文字に閉じられている口元に、何とも言えない魅力を私は感じました。
     女性本来が持つ強さの現れかもしれません(何を言っているんでしょうか?)。

     後ろの座席に移り左から順に今回の旅の相方、私の真正面へ位置しますので覗き込まなければよく分かりませんが、おそらく寝ているのでしょう。奴は枕を選びませんから。右隣りはかなり体格の良い女性ですね。多分マレー系の人でしょうか。一番右もやはりマレー系の人にも見えていましたが違っていたかもしれません。
     その男性は車内では終始腕を組み、両方の手のひらで自分の腕をこすっていました。藍色の半袖ボタンシャツに薄そうな生地の七分丈くらいのズボンと露出の多い服でしたので、車のエアコンが効き過ぎていた中ではさぞ寒かったでしょう。今現在ファンが快適な温度に設定された部屋でこれを書きながらつくづく思い出されます。

     最後に4列目の最後部の座席について。一番左の窓際は私です。これは運が良かったかもしれませんね。自分の体格では両側に人がいる状態では窮屈な体勢で隣人に気を使わなければならず、その時のように異国の地で初対面の人間同士が車内に乗り合わせる環境では、さらに身の縮ませんばかりの気分だったことでしょうから。




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    日記2004【3】嗚呼掃除日和、かな?~3(了)





    (1136字) 
     夕方からは両親の部屋の物品移動をする。仏壇はかなり重く、普段は不信心の父が何故か仏壇の中の曼荼羅を殊更慎重に扱うのは、なんとも違和感があり可笑しくもある。
     結局洋服ダンスに本棚、小さめの雑用ダンスと決められた順番で広くもない部屋内を倉庫番さながらに運び、私の替えたばかりのシャツはほこりと汗で致命的に汚れてしまった。
     父の本棚を整理していると、宗教や心理学、あるいは思想やジャズに関する本以外に哲学書や小説なども出てきた。サルトル数冊にハイデガーの『存在と時間』、コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』続編も含め、また大江健三郎の『性的人間』『われらの時代』(性的存在としての人間にかなり関心があったみたいだ)など。
     知る限り父は全く小説を読まないから、これには少しばかり驚きを持った。しかしいま考えてみると、上に挙げたものにしろ『海を見ていたジョニー』やら五木寛之他著書にしても、やはり時代的な思想を作家がどのように解釈し、受け入れ、咀嚼したのちに彼らなりの言葉で如何に表現するかを自ら強く問うている作品が多い。

     晩飯は水菜と牛肉の叩きサラダであった。あれは今や私の好物の一つである。これまで短期間に人の食に対する好みが変化し、また形成されるところを経験すると、それにしたって不思議なものだと我ながら感心してしまう。
     今日はこれくらいにしておこうかと思う。時間も遅いので吉本隆明の『マス・イメージ論』を読んで寝る。ついでに村上春樹の『うずまき猫のみつけかた』も少しめくっておきたい。
     吉本の本は久しぶりに読み応えのある本だ。表現も思想家にしては面白く――詩人でもあるから、かもしれないが――やはり、相当に難しい。こういった本を読んでいると、クラスメートとの唯一の違いのようなものを感じられて、恥ずかしい話だが有体に言えば少々(実はかなり)悪くない気分なのだ。まあいいさ、誰だって優越感を得るために必死だ。それが人に見える形かそうでないか、やはり確かに些細な違いでしかない。
     また人によってはあまり多数に価値をしっかりと認められていない優越の対象を、自尊心を高め、または自慢をするほどに価値のないものとして馬鹿にすることがある。
     ある人は他人が口の端に乗せ、目の前に提示する対象を精査しつつも、その中で他人に対して羞恥心なく示せる対象とはどれとどれであるといった具合に、リストを作り出してしまうのだ。結局彼らは、いじましくも各々だったり自身が抱え込む対象の出自の確かさ(?)を見極め処断する、陰性の優越感を得るのであった。
     もう書くことが無いわけではないが、まとまりが悪くなってきたのでそろそろ筆をおくことにする。明日は、晴れていればなんとか元気にやっていけそうなので……晴れて下さい。




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    夢見【14】元気だせよ、マイフレンド!!(了)





    (1070字)
     十歳前後の子どもと一緒にいる。どこかの大きな街の一角。
     周囲にはゴミが散乱し、巨大な鉄製のゴミ用コンテナが三台ほど横に並んでいる。ショッピングセンターの裏口のゴミ置き場あたりにでもいるような感じか。目の前には表面に無数の凸凹のある、やたらに頑丈そうなどぎついピンク色をした店の外壁がそびえている。街や周囲、コンテナの外観などからしても、雰囲気としてはアメリカ都市部のスラム地区に近い繁華な通りといったところ。
     子供はあまり元気が無い。家族がどこかにいなくなったそうだ。こちらに顔を背け、足下の見えもしない小石でも蹴り転がしている様子には声をかけたくともなんて言ったらいいか……。

     早速探していた人が見つかったと報告がある。伝えてきたのは以前の職場で一緒に働いていた、口が悪く鼻の大きなおばさんだった。
     子供の母親が見つかった場所にはコメディアンKの愛人もいたという。そこは日本の地方都市によくある個人経営スーパーっぽい、活気のない退屈な雰囲気だ。店内の作りは大手と大体が似ているものの、棚の中身はスカスカで品目も少ない。店内に装飾類はなく、殺風景にすら見えるほど白一色に統一されている。

     子供は用を終え帰途についていた。近いうちに母親と再会出来るだろう。どこかで親子は落ち合うとも思えたが、彼は自分の親を恥じているかのように、あるいは憎み悲しんでいる複雑な心を俯いた背中は語っていた。

     20m近く離れた後ろ姿に向かって、私は「バッカヤローー!」と元気に声をかけた。仲間内では時として、互いが唐突も唐突の大声で――怒鳴り合う。感情を整理せず理解せず、それに追い付かれる前にただただ分かりやすい言葉にして外へ放り投げる。そのまさにあまりの馬鹿馬鹿しさとあけすけさ、屈託の無さを無理にでも打ち出す。やがて本当の笑顔を引き出すことが狙いのコミュニケーションだった。
     ただ、振り向いた少年が返したものはつまらない大人同士が普通に交わす挨拶で、まだ幼い姿、声をもってしてはより切ない、ただの小さく力ない笑顔。
     いまの様子を見ていると、こちらが大声で気持ちを奮起させようとするのも調子ハズレな状況だし、今回はそんな気分じゃないのだろう止めておこうかと、寂しくありつつも躊躇しないわけにもいかない気分になっていた。
     一旦前に歩き出し数m遠ざかってから突然に振り返り、笑顔はちょっとぎこちないものだったがそれでも子供らしい良い笑顔で「バッカァヤロォォーーー!!」の返事が、車線を隔てた街のメインストリートから周囲一杯に響く。いつもは嫌がって調子を抑えていた自分の甲高い声を厭うこともなく、全力で。
     なんだかとても嬉しくなって、大きく手を振る。彼は私の友達なのだ。

    夢を振り返って:ベルトアクションゲームの『ファイナルファイト』(カプコン)の舞台を知っている人ならば、あんなふうだと思ってもらいたい




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    タイ旅行、後日まとめ記【6月30日】~6






    (1396字 追記〈2〉を除く)
    【2000年6月30日】に記したメモから ご無沙汰でした!! 現在マレーシアの地方都市、マラッカという土地にいます。ここ2~3日間の記憶を回想していき筆を進めていくことにしましょうか。
     この日記が少なくとも私にとって有意義なものであり、いずれ人生の絶望の淵をさまようことになろうとも、その淵から引き上げる蜘蛛の糸にならんことを期待します。

     さて、ハジャイからペナン行きのバスの予約をしついに乗り込むこととあいなりますれども、それは果たしてミニバスとは名ばかり、あきらかに大人七、八人程度乗るのがせいぜいのワゴン車に押し込まれる予想外の展開。
     私のこの身体からして決してスペースは広くはなく、なにしろ運転手を除いても貧乏バックパッカー二人を合わせて十人近くが乗り合わせる車内は、元々が非常に狭苦しいものでしたからなおさら、さすがにこれはとうんざりさせられましたが。
     まあ、そうこうと戸惑い逡巡しているうちに、運転手と思[オボ]しき人が前方にある小さな広場からいよいよこちらに向かってくるのです。
     彼がチケットを見せろと言ってきましたので、それに従い手渡すと引換に薄っぺらい名刺サイズの紙を目の前に出しこれを持っていろとだけ簡単に告げ、足早に車のほうへ近づいて行ったのです。直前になってからどうやら車内の点検を始めたようでした。

     すわ出発ということでいよいよ、車はまさにすし詰め状態で押し合いへし合い(ちょっと言い過ぎでした)しながら乗り込まなければならなかったのですが、とりあえずそれはそれとして、記憶を辿りながら座席順で簡単に乗客の記述していきます。
     
     男性の運転手は五十代に差し掛かった感じでしょう。働き盛りといった雰囲気が身体から滲みやや腹は出ていましたが、職業人として長年を過ごしてきた者の粘り強い力が遺憾なく太ましい腕や盛り上がった肩に乗る、頑健そのものの体。豊富で黒々とした頭髪は綺麗に七三分けに撫で付け、濃い目のサングラスをかけてはいるのは長時間の日照刺激を和らげるためでしょうか、隙間から覗く、そこだけ周囲に比べ白んでいる目元にある深い数本のシワからは、意外に人好きのする表情が伝わってきました。
     ところで、今回利用した乗り合いバスの業者は民間っぽいなとなんとなく雰囲気から思っていました。その場合は特にこのような仕事をしている人間は程度の違いこそあっても、営業の許可に地域の反社会的な勢力との断り切れない関わりがあり、この運転手も売り上げの一部を収めて働かせてもらっているのかななどと、勝手な想像をたくましくさせていたのでした。まず最初に目にした遠目からの印象として認めてしまっただけなのですが。
     少なくとも近くからしばらく客との接し方を見ていれば、愛想は決して良くもないが細々[コマゴマ]と客の世話を焼いていて、仕事に関してはそれなりに律儀さをもって務めているようでした。
     私の住む地元の商店街でぼちぼちと商売を営んでいる、接客は主に奥さんに任せ一歩奥まった場所で大体黙々と作業でもしているか、暇な時間帯には町内会の寄り合いにぶらりと顔を出してでもいそうな、二代三代目あたりの商店の主人と似た感じのタイプなんだろうと思えてきたのです。
     
    追記〈1〉 2013・10・05 実際に調べていませんし、名称も覚えていないので手がかりも一切持ち合わせませんが、普通は公営のターミナルで業者が利用料を払っていると考えるのが妥当ではあります。 (追記〈1〉了)

    追記〈2〉 2015・06・18 とある方のブログでは、ハジャイからペナン島までのミニバスを利用した際、一部の業者からかなりの料金をふっかけられそうになったという内容の記述がありました。
     移動費に限らず諸々の料金の相場を把握しておくのも勿論重要ですが、それでも場合によってはいちいち場当たり的な交渉をしなければならないときはあります。そういったことに不安を感じられる方は、事前に調べられるものは調べておき、信用出来そうな旅行会社へ連絡をとるなりしておくほうが安心は安心ですね。 (追記〈2〉了)




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    日記2004【3】嗚呼掃除日和、かな?~2






    (1006字)
     本人自らもゴミであることを内心では認めていないわけでもないのだが、口にするのを何故か避けるのが大抵なのである(『確かにいらない』とは口に出来ない理由があるというよりも、むしろ判断する行為自体を億劫であるとする感覚が強い)。
     そのときに重要な物(本人が思う)や価値のある物(本人が思う)を、しっかりと確認した上で取っておく態度を示すのが大切なのだ。そうすることによって『全てを何でもかんでも捨てるわけではないんだな』と少しばかり気を許し、次第に警戒感を解いてくれると期待出来る。

     ある程度は強硬手段を、あくまでもある程度は許容可能な範囲に受け取ってくれるのだ。少なくとも安定した処理のペースが続いているあいだは、常に作業の手を止めて話し合いを持つことが出来るくらいに相手も落ち着いている。
     実はそのような状態が続いている限り、普段進んで物を捨てたがらない人間も『ああ、そういえばこんなものもあったか。だけど取り立てて必要とするものではないな』などと気持ちも柔軟になり、わざわざ元に戻したりはしないのである。
     基本的に面倒臭がりの人間の性質を逆手に取る――というと聞こえは悪いが――やり方なのだ。

     私はとりあえず自室でゲームをやりながら、ひそかに妹とおばあさんの捗り具合の様子を窺い、停滞気味になりかかったところでやがて階段を降りていった。
     もちろんこれらのやり方が逆効果である場合も少なくはないだろうが、こればかりはどうしようもなく現実的な要請の点からいっても、まずはやらざるを得ない。
     だとすれば、以降も試行錯誤を忘れず当人の意志を相当に尊重する行動規範を旨として、これがとりあえずの始まりにあってはベターだと結論が導き出されることも、それほど不自然なものではない。

     物に対する収集――というより、少なくしか捨てられずに多くを集めてしまう癖(正確には要る物と要らない物を区別出来ない、あるいはしたがらない)は多少の差こそあれ、一定程度は多くの人間に存在する囚われ的な情緒の姿であって、彼女の場合も如何にも病的な現れではないのではないか。
     そう思いたい気持ちもあるし、真も多少ならずあるのではないか? 
     一方で単に、私の掃除心の火がいつの間にか最初に事を始めたおばあさん以上にかなり勢いがつき、早目の昼食から昼下がりを迎えた時間帯でも相変わらず燻っていたので、傍から見た姿は半ば強引に付きあわせている感じにも見えなくもないのだったろう。




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    夢見【13】仁義と学園都市とたまたま銀髪~そして伝説へ(了)





    (1435字)
     頭の上には石造りの凝った意匠をしたアーチ型アーケードが横幅3mくらいあり、ずっと街の端まで続いている。その一方で近代的な駅舎やショッピングモールもある。学園都市のような雰囲気もなくはない。

     歩いていると不良に絡まれる。髪の毛は今風の若者っぽい、無造作系みたいなもので、濃い目の銀色に染めている。どちらかと言えばヤンキーよりはチーマーか、そんな感じだといっていい。
     場所が突然変わり、夜の廃材置き場のようなところに移る。相手は複数いるらしいが、目の前にいるのは二人。一人はナイフを持ってちゃかちゃかと振り回している。もう片方は握り拳に一連となった金属の太い指輪、つまりメリケンサックを嵌めているのだ。
     周りは高いフェンスに囲まれているので、よじ登って逃げるにしても相手がまともに動ける状態では背中を見せる訳にはいかなかった。
     近くにチェーンが落ちているのを発見しとりあえず、それを拾い応戦する。なんとか手に持っているナイフをはたき落とし、メリケンサックの不良に対しては肩口を思いっきり引っ叩いた[ヒッパタイタ]。怯んだ隙に何とか逃げることに成功する。

     街中を歩いていると、様々な人に声を掛けられ挨拶をされるのだった。そのたびにこちらもかなり深くおじぎを返した。
     それこそ老若男女――洒落た服装に皆スタイルが良く、まるでFFの世界のようだ。8のシド学園長に似た男性ともすれ違って会釈をされる。自分って人気者なんだと嬉しくなり、自然と笑みが溢れていることに気づく。
     真後ろからするハーッハーッと荒い息漏れ声に気がついて振り返ると、先ほどのチーマー(意外に小柄)が後ろにピタリとついてきていた。どうやら私の舎弟になったのだ。

     歩いていると今度は違う不良グループに絡まれる。全員青い髪をしている、10人くらいの集団だ。
     3m以上の馬鹿でかい奴もいれば、普通サイズから妙に小さい人間もいる。男女年齢も色々だ。
     身長や体型、主に立場などから彼らにはちょうどいい自分たちの立ち位置が決まっているらしく、巨人の如き男は中央後ろでまさに仁王のようにどしりと構え、こちらから見ると斜めに向いている着流し無精髭の男、両の腕は組まれた状態で袖口に隠され、口に咥える長楊枝をくゆらせ紋次郎を気取り、ピエロの格好をして片手で逆立ちをしつつ足で器用にジャグリングをしている小猿のような子供、顔に手を当てどこまでも伸びる舌でその指を扇情的に舐め回しながら、エロティックなポージングをしている異様に足の長いセクシー女、キッキッキッと不気味な笑い声を上げ鉤爪を舌なめずりしている黒目のない小男、彼らはまるで破天荒・ファンタジー不良マンガの悪役総集結といった面持ちですらある。あるいは男塾やら、なんたら忍法帖だ。

     舎弟になった銀髪が前にしゃしゃり出るなり、いきなり大人数に飛びかかる。カポエイラさながらに倒立してからの足技を繰り出した。
     相手も相当強そうに見えたが小柄な元不良はさらに化け物じみた強さのなのだ。1対10人で全く引けをとらなかった。それどころか、打ちのめされ地面に倒れる青髪が2人、3人と徐々にその数を増やす。
     次第に彼の銀髪は青髪に染まり、その姿はてろっとした表面のアニメキャラクターに変化していくのだった。ついでに性別も男から女になったかのように、体型が細く顔つきもいくらか違って見えた。

    夢を振り返って:破天荒・ファンタジー不良マンガとは島本雅彦っぽい漫画のことだ。彼の作品はあまり読んだことはないが……




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    タイ旅行、後日まとめ記【6月27日】~5





    (1150字)
     そのときが初めてとは言えませんが、彼に対して抱えていた疑惑の塊の鼓動が限界の地点を超え、破れたそれは血を流し始めたのです。
     と過ぎても聞こえる不穏な表現ですけれど、私の中では俄[ニワカ]に信じがたいと思われる行動の数々が、いずれ憎悪の対象になっていくのではと確信に近いものに目の前を暗くさせながら。
     しかし敢えてごまかしてでも今は何とか先延ばしにしたほうがいいかもしれない、と。まずは、現実の問題を解決しなくてはいけません。

     結局、根拠もなく闇雲に探し回っていた相方が折れた形になり、乗り合いタクシーを見つけホテルまで送ってもらったのです。
     乗り合いタクシーの中では少し面白いことがあったのですが、どうにも気が乗らないのでまた機会があれば記すことになると思います。
     ホテルへと帰りフロントで鍵を受け取ったときには、余程逃げてしまったのかまた事故にでもあったのではないかと心配している様子で、女主人はカウンターの脇に出した椅子に落ち着かなく座っていたのでした。
     部屋に帰るといくらか気持ち治まりました。とりあえずベッドに腰かけながら、その日の強い日差しによって洗濯臭も消え少し硬くなった服を、いちいち確認して再びバックパックへ。簡単な食事を部屋で摂ると後は何もなく夜は更けていきました。
     次の日我々は国境を越え、なんとなくそれと決めた目的地のペナン(マレーシア)へと向かうことにしました。
     早速代理店を探し当て(とはいっても、本当はだいぶ探して見当違いの場所で見つけたのでした)、350Bでペナン行き午後十二時発のチケットを意外にあっさり、今までと較べると拍子抜けするほど早く手に入ったのです。
     ところがバスの到着を待っていた我々には待てど暮らせど一向に到着の気配なく、かといって十二時発と書いてあるのにいちいち聞きに行くのも間抜けですので、彼の文句やら独り言を隣りで聞き、私も何をどうすることも出来ず内心穏やかではありません。
     三十分後でしょうか、感覚的にはあまりに待たされていたので一時間半くらいに思えるのですが、短針はわずかに動いただけで長針が指した先は真下を向いていましたので間違いないのです。
     気を揉んでいたのは我々だけだったのかもしれません、後ろにいた職員っぽい人たちは談笑をしながらタイ式将棋に興じて(中国式将棋かもしれません)いたのですね。
     やがてチケットを購入する際に訊ねた女性が小走りに来て、おそらくバスが来ましたよとでも言葉とジェスチャーで必死に伝えてくれているよう。
     言葉のまるっきり通じない日本人に対し、自分が引き受けた客だからバスに乗るところまでは何とか責任を持ってやろうという彼女の態度は、確かに仕事だから当然といえば当然のことなのかもしれませんが、大袈裟に言えばそのときの私にとっては仏心に等しく感じられるものでした。




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    日記2004【3】嗚呼掃除日和、かな?~1





    (1259字/2004年2月15日に記す/2013年10月補筆修正)
     Hello!! 兄の部屋へ出入りしているおばあさんの立てる音が聞こえ、目が醒める。
     覗いてみるとかなり重そうな荷物(ダンボール)を運ぼうとしていた。放っておくわけにもいかないかなと、眠い頭を冷水で驚かしつつ徐々に現実の世界に足を踏み入れる。

     正直に言って、目覚めの一発にいきなりこんなことを手伝わされたら面倒だとばかり思っていた。
     しかし、おばあさんの必死で困り果て少し悲しんでもいるかの顔を近くに知りつつ、見て見ぬ振りは難しい。
     しかも動かそうとしていた荷物はかなり大きく多分に重量もあるようで、一人で持ち上げでもしようものなら膝や腰に負担が掛るだろうし――後で私が確認した限りでは、やはりおばあさん一人ではまず不可能なくらいの重量だった――、ひょっとしたら心臓に悪いのではないか?
     ズボンを履きベルトを締め、たまたま通りかかった調子でこちらにまだ気づいていない相手に声を掛けることにした。

     途中々々で何度も放り出したくなってしまう(別に本人が実家に帰ってくるでもないのに何故部屋の整理をするのか、連絡があってからでもいいのでは)仕事だったが、やはりおばあさんの顔をふと見るとここで面倒臭がって止めるわけにはいかないなあと感じさせられ、やっぱり部屋を出てしまおうかもしくは「今日はもう止めちまおうよ」と、迷いながらに幾度もかの説得が結局二の足を踏むことになる。
     仕事が終わりお好み焼きを作ってもらう。古い牛肉を使い切れてこれはこれで良かった。いつもの通り安定した味であるが、感謝の言葉がトッピングについていた。
     
     次に下駄箱中段の空白スペース(何と言うのか分からん)を片付けないかとの、勢い付いたおばあさんから提案。
     一度掃除心に火がつくと、意外と止め時を見失うほどにのめり込んでしまうことにもなるというものだ。その際一計を案じ、普段非協力的な当事者の妹にも参加してもらうための方策をおばあさんに伝授した。
     彼女の、本人もとうに存在を頭から抹消している古びて汚れた雑誌類や小物、どっかの心理セミナーから送られてきた案内書、下半分がちぎれ当然中の入っていないスナック菓子の外装用の型紙パックやら、くるりと内側に丸まり筒状になったコミックス、ラベルがとうに剥がれ伸びきった音楽テープといったものが、全く整理されることなく乱雑に下駄箱の中段に置いてある。

     ゴミ捨て場といってもいいくらいで、処理に困った物たちが一時的に避難する場所になっているのだが、大小様々の物品は『サイダーハウス・ルール』(ジョン・アーヴィング)「セント・クラウズ」のホーマー・ウェルズの持ち物のように、【いつまでもそこに――時に何度かは手に持たれ、数秒間のそのものの行く先についての思いがなされたとせよ、やはり(確実に)一時間後には――あった】
     とても良い考えを頭に浮かべ、私はなにやら上機嫌だった。
     というのもいつまでもゴミを捨てたがらない人間を相手にする際には、敢えて強制的に処断する少々強引な手合いに物を捨ててしまう選択も、ときには取り得る有効な手段の一つであると気づいたからだ。

     



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    夢見【12】試験までに駆け抜けろ~2(了)






    (1400字)
     ものすごい人で廊下が埋まっている。祭りの日か満員電車さながらの混雑具合。
     人波をかき分けながら途中どこかの教室を通り過ぎる時、あまりの暑さからか上着を脱いだらしく、白いランニングシャツ一枚の全身汗だくになった先生が廊下に佇んでいるのが見えた。声を掛けたかったが、近くに人だかりが出来てそんな雰囲気では到底無いのだった。
     少しすると先生は一旦しゃがみ込み、奥にいる生徒と息を合わせ担架を持ち上げようとしていた。
     異様な人の数による熱気と、皆で押し合いへし合いをしている状態だったのでそのせいで具合が悪くなったのかもしれないと思いながら、背中にやり取りを見つつ後にする。

     次第と焦りが出てくる。小走りになりながら左右を忙しく見渡し、相談して意味のありそうな人物を探すもなかなかに相応しかろう相手は見つからない。角を曲がる時も速度を落とさずに走りぬけ、自分の体が車のドリフト走行の状態になっていることに気がつくのだった。
     もうダメかもしれないと沸き起こってくる気持ちを抑えつつ、どうしても諦めきれずに直進する。
     少し進むと廊下の左側に改修中のトイレか教室のような空間があり、入口付近にがれきが三十センチくらいの高さに積まれていた。その上に若い作業員二人が腰を下ろし、どっかりと座り込み何かを話していた。この先には多分探している人物はいないだろう。段々と人もまばらになってきていたのだ。ただどうしても、進んで来た道を戻ることは出来ない。

     周囲をいま一度見回すが、ほとんど人の気配がない。こりゃいよいよ間に合わないと泣きたくなるような、でなければ辺り構わず大声を発しでもしたくなる感情に飲み込まれそうになり、真っ直ぐな道をヤケクソ気味に全力で走る。
     試験の際に受験票の類が必要だという元々の決まりがあるのなら、それを自分が知らないはずがないのだ。おそらくこちらが知らないうちに訳の分からない制度を勝手に、あるいはわざと誰かを騙すために作り出したに違いない。
     そういった理不尽さに対しての怒りと、かなり重要であろう、多分義務付けられているはずの試験を受けることが出来ない現実への、極度に落胆する気分が混じりあい絶頂に達した。走りながら「ゥウオオォォーーー」

     顔を上に向け思いきり叫び、その叫びは声が嗄れることが無く、さらに声が続いている間は時間の経過とともに走る速度が加速していくようだ。衝動のままに全力で、地平まで突き当たりの見えない廊下を駆け抜けた。
     足元には細かな石の欠片が無数に散らばり、部分的にまたは半分以上のコンクリートが砕かれひしゃげた鉄筋がむき出しになった壁が左右を囲んでいた。私の叫び声を笑いながら真似をする、先ほどの作業員の声が後ろから壁を反響して伝わってくる。 

    夢を振り返って:白いランニングシャツを着た先生だが、TV番組の再現VTR専門で頻繁に顔を見せる、固太りで頭髪はかなり薄く眉は太く目はギョロとしているあの人物だ
    大体演じられる人物像は頑固者で怒りっぽく、しかしそれでいて意外に子煩悩だったり部下思いなところもあり、素直にはなれないが奥さんを愛しているといった感じの役柄が多い
    時代に取り残された生きづらさに苦心しながらもなんとか踏ん張ってみようとしている、最後の昭和の親父という設定だろうか。それを彼は上手くこなす

    付け加えるなら、必ずと言っていいほど脳か循環器系の血管などの異状により倒れ重体になる、みたいなシチュエーションを演じている。名前は思い出せないがあの人だ




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    タイ旅行、後日まとめ記【6月27日】~4





    (1310字)
     ホテルへ帰ろうということになり、来た道を逆に辿ればホテルがいずれ見えてくるのではと、軽く考えていたのです。安価で購入したウォークマンは意外に音質も良く、よく見るとマイクから周囲の音を拾って録音する機能もついていました。
     なんとなく気分の良くなった私は、来る道よりも一層軽い足取りといった感じです。私も彼も道を憶えているはず、でした。
     しかし初めての土地では色々とうまくいかないものですね。我々は散々迷い、何度も同じ道を通り、袋小路に陥ってしまった錯覚すら感じる始末なのです。
     彼の話によれば(ほとんど彼に任せていたし、自分にはもう道のことをとやかく言うだけの自信も余裕もなかったので)、ある通りに出れば彼には判るのだそうでした。
     その通りはこの通りとどこが違うのか、説明を求めても碌な応えは帰ってこなかったでしょう。

     反論する気にもならず、大体何に反論をしたらいいのかも段々分からなくなり、その日は気温もだいぶ高くなっていたので、噴き出す首筋の汗が襟首から胸のあたりまでをぐっしょりと濡らす中、黙ってついていくしかなかったのでした。
     彼が言っていた通りはいくら探しても見つからず、初めからそんな目印自体存在していなかったのではないか、もしくは嘘……いや、嘘をつく理由は無いだろうから勘違いだったのではないかと、あらぬ疑いを沸き起こし打ち消しては否定するを繰り返していたのです。
     止めましょう、色々考えても馬鹿馬鹿しい妄想の類しか思いつきませんし、彼もまあ必死になっていると当然信じていました。少なくともただ黙って歩いているあいだは。
     我々の疲れ苛立ち、焦りは頂点を迎えようとしていたはずでした。いや、ひょっとしたら気づかないうちに、行き場の無い怒りやじりじりと迫り来る焦りの感情すらも、熱帯の気候によって汗とともに流れてしまっていたのではないかなどと、後になってそんな気さえしていたほどです。
     そう考えられてしまうくらい、当時の私は何よりも脱力していたのでした。
     
     妙なのです、こんな迷子のような状態を脱して一刻も早くホテルに帰りたいわけでして、しかし彼の行為はそれに反するかのものが何度もあり、良く分からないのです。
     例えば私がツーリストポリスにホテルの場所を聞こうとしたときも、数メートル離れたところであらぬ方向を向いていました。まるで、彼は自分には関係が無いことであると振舞っているとしか見えないのでした。
     あるいは、道が分からなくてどうしても教えて欲しいなら勝手にすればいい、俺は本当に知っているから訊かないよ、現地の人間ならまだしもツーリストポリスに尋ねたりするのは、素人旅行者っぽく思われて恥ずかしいことなんだと言わんばかりに。
     さらにその数十分後にタクシーのほうから声を掛けてきたときにも、ホテルの場所を知っているならば運転手が連れて行ってくれるはずだと今度こそ期待したのです。が、車を呼びとめ話をしようとすると相方はあからさまに拒否をして、そんなことしなくても大丈夫と言い切ったのです。
     もうその状況では一刻も早く解決策を見出したい、いや最早[モハヤ]縋りつきたい気持ちだったわけですね。なのに折角の機会を無碍[ムゲ]に断った……。




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