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    カテゴリ外【3】臆病者は彼をして自ら首を絞むる~2(了/インチキver.)修正版





    (1248字)
     異なりし肌と髪の色持つ人々多く存しない此の国におき、彼ら逃れ出した際に得たる髪の色異なりの装飾として映らん。其処に世への逆らいを見て取り、満たされぬ物が自ら身より生まれいでた事気づかず、または目を背けるゆえに積もらん鬱せし心を感じさせもす。
     足りなき言を易く向かうところなき声と必要とせず在る肉をすら頼れぬ、老いし者の使い慣れた杖如き力によって埋め合わせんとする姿かいま見えや。いいや、逆らいなどと云う言は彼らには勿体のなき物か。其処には言い定むるべき正しきも挫かれたる其の先も無しと思しきに。

     日が常に変化を失いて、永きに同じくの一つ地に存すが彼ら真の望みなるか。彼ら常に臆さざる事なし。ゆえに、変わる事恐れ、取り残されるを嫌わん。ついに大なるを忘れてもあらん。
     時過ぎ去り彼ら其顔にいくつかの皺刻まれしに、筋に繋がりし肉の疲れ日の数を要す後に収まりを見せるようならん。かつて明るきを知らざるとして世への理を解きし上に盲た行き先を妄りに選びて、地に腰を下ろせし時は再びと戻る事はなし。其れら日の連なるは唯流さるる易い体を作り出さん堕と、希み一切存しない虚ろな望みのみ虚ろなる頭に跡残す。
     学を持たず知を知らず、全ての道彼ら前では色褪せし如きに同じき者の営みに繋がる姿しか信じる事適わず。歪み拙なくある報いの心が現れで在る。値の乏しき戻る事要しない世で在ると思い込まんとし、彼ら特に有す脆くも崩れ去らん其姿を見せる、虚ろにて構えの定め束ねられし地より送られた迷いと戯れなりき。

     彼を救い上げん手は去りし日にて同じ過ち犯せし者共。其の手かつては向かい先の知らざる物なりしに、過ぎし怠けり虚ろなる力の痕上手くの具合に拭い取り、瞳いづれ世への卑しき憎しみ消し去っているかの如きに見えん。
     彼ら仕える者手に、此の世にて糧得るすべを身につけん。泥に塗れ汗を絞らん厳しき夏冬に耐えし其の身。
     早々の自ら求む老いたる装のうちにある先人、彼は惑いと易く容れらるる怒りの心に生くる先んじて達すべく者。教えを言にする事能わず、其身を重ね合わせし事のみを熟れへの道と解く。耐え忍びつ積み重なりの末、双つのみ世に振るう旗なりとて、やがて若人其を得んとす。
     彼ら昔日の如く道の端に腰を下ろさんと自ら仕えるべくに矜持を見出しつ、現では其ために必要とさる太ましき骨に裏打ちされし筋たくましき腕見やり、しばしとなぞる。湿った肌汚れにまみれし衣は時の幾つかを我を忘れ世に向きあおうとせし闘いの証といえん。
     
     しかしついに報いを受ける。持ち上げし頸の上頂き彼らを押し潰せんばかりと聳え立つ。頂きの小さき覇を手にする者汗を知らず膂力頼らず、其でありながら足元の者共指の先一つで従せもすれば屈させる事甚だ易い。地に伏した彼ら自らの衣に着きし泥を跳ね飛ばさんとす。泥は脇にこぼれるとも滲み消える事なし。彼の目、日より同じく過ごせし輩との酔と労いの言に忘れしかつて憎しみ、誰も自らも望まぬ再びの蘇りを得ん。




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    タイ旅行、後日まとめ記【7月2日】~13





    (1290字)
     雨も止みこちらも新しく注文をする意思がない以上、いつまでも店に長居するわけにはいきません。食事が終わってからも会計をどうするかとなんとも吹っ切れない気分で相談していましたが、隣りで軽食をとっていたマレー人の男性達はそんなぐずぐずしている我々の姿に対し、段々と奇異なものでも見るような目になっていったのでした。
     新たに注文もせずにこれ以上居座ってはいられませんから、ついに覚悟を決めて店を出ることにしました。そのためにはまず勘定を払わなければいけませんので、重い腰を上げ店の手前にある食品陳列台の脇にあるレジへと。ウェイターが近寄って来る最中、手元にある一枚の紙を拾い上げちらと確認しましたが、おおよそ当初に予定した以上の値段の示された会計伝票であるに違いない、……。

     私たちに彼の早口のマレー語が分かるはずがありません。それに気がついたのか、今度は随分ゆっくりとした英語で伝えてくれたのです。彼の何度も口にする、おそらく数字らしい短い単語へ耳を傾けているうち、私は意味をようやく理解し始めました。すると、理解したはずの単語では金額的におかしいのではないかと感じ、彼に伝票を見せてくれないかと頼みました。
     相手があっさり見せてくれた伝票は日本で使われているものにも似た細長い用紙でして、罫線の中に青ペンで殴り書きにされた文字があるのは確認出来ました。が、メニューの品目自体を読むことは出来ません。各段ごとに分かれている左側の項目は多分品名で、右側が金額でしょうか。金額記入欄を目で追いかけると、一番下には『10』と枠からはみ出し気味にかなり乱雑に書かれ、数字の下には強調するための二本線が引かれていたのです。

    「Ten-リンギット?」私はそう訊ねました。「yes,yes」
     1リンギットあたり当時は32円くらいでした。食前には二人でアイスコーヒーを飲み、いわばフルコース(少しオーバー表現ですが)を食べたわけですが、二人分全てを合計しても350円にも満たないという、まさに信じられないくらいの安さ。全くもって私は感嘆を抑えることが難しいほどでした。
     タイよりもっと物価が安いんだってな。と、食事の後になって相方から聞かされました。ともあれ、店の人間のボッタクリバーの如き押し売りのやり口や、隣りにいるマレー人の男性たちまでも、カモの観光客が騙される光景をつまみにしている悪趣味な連中なんだ――。そんな風に勝手に憤慨していた十数分前の自分が非常に恥ずかしく、店を後にした私は一人天に向かって謝罪をしたいほどの気分だったのでした。
     彼らは普段通りに食事を提供し代金を受け取っただけですが、こっちとしては緊張や誤解から開放されたためからのやたらな反動があったわけですね。マレーシアという国はなんと素晴らしい国なんだと、内心では結構本当に感動していたのです。当然、相方にはそれらを口にするはずもなく、自分の胸にしまっておきましたが。
     ペナンにいるあいだはこの店をこれからも利用したいものだとそのときは思ったのですが、常に移動し続ける私たちは旅行中に同じ店の暖簾を再びくぐる機会は、残念にもありませんでした。




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    エッセイ(物語構成)【5】人生の仕事始めに~3






    (1877字)
     飲食店の仕事には、多くの場合賄いがつくという役得がある。産まれて初めて働いた僕は当然そんなことは知らなかったので、毎回の仕事終わりに食事が提供されるシステムには随分と感激したのだった。
     なにしろ、客が金を払って食べに来ているものをこちらは只で選び放題なのだから。
     どんなメニューにしてもいいし、普段の店頭では扱っていない超大盛を注文してもかまわない。基本的にメイン料理は厨房の中にいる人間に作ってもらうが、他の作り置きしてある小皿メニューやご飯の盛りなどはこちらの自由なのだ。バイトをしていた一年数ヶ月で5キロも太ってしまったのは、致し方がないことだったと言いたい。そう、無料の誘惑には勝てなかった。

     バイトにも慣れてきた頃、D村が「○○さ、たくさん喰うのはいいけどひとこと言えってさ。副店長が「あの子は遠慮がないね」って言ってたぞ」と、教えてくれたのだった。文句を言っていた副店長の真似をしながら笑って見せる彼に対し、こちらはそれどころではない冷や汗ものの心境。
     僕は次の仕事の日には、今日はこれで上がりますのですいませんが肉野菜味噌炒め定食(これが恐ろしく美味い!!)をお願い出来ますかと頼み、さらに許可をとってからご飯をよそったのだ。
    「遠慮がない」と口にしていた彼は、こちらの顔を一瞬だけ確認すると「別に、いちいち確認しなくてもいいから好きにしなよ」と言いつつも、なんとなく気が晴れたように目元の緩みは穏やかなものだった。その日いつもより肉が多い定食を用意してくれたのは、ちゃんと一言断ってご飯を盛るとのルールを学習した、謙虚に注意を受け止めたらしきバイト高校生に対するご褒美、だったということにしておこう。

     ふと思い出したのだが「嫌な」出来事が一度だけあった。バイト先の店はフランチャイズ店だったので当然オーナーが存在している。時々本人は顔を見せ責任者と雑談をして帰るだけだから気にもしなかったが、ある日夕食時の一時間少し前に、事前の予告どころか一切そういったことを触れた話もなく、奥さんが子供を連れ二人で突然現れたのだ。
     僕は普段以上の接客を心がけた。コップを置くとき下に指を半分はさみ音を立てないようにと、以前教わったやり方をさらなる馬鹿丁寧さでやることにした。しかし緊張していたのだろう。テーブルに軽く底が当たり音を立ててしまい、二人が帰るまでの一時間ほどは客も全くいない静かな店内だったせいもあり、なおさら少し気まずい雰囲気を感じながらの食器の上げ下げとなったのだ。
     二人が店に来てから雑談が終わり席を立つまでのあいだ、結局オーナは姿を表さず、コップのことについては何も言われずいた。やはり考え過ぎかもしれないと、夫人と息子が帰った後は気にもせずにいたところ、それから数日後またもD村に忠告を受けることとなった。
    「なんか、ちょっとやばい感じになってるみたいだぜ。オーナーの奥さんが、お前をクビにしたほうがいいんじゃないかって言ってたんだって。なんかさ、子供に結構言われたらしいんだってな。コップとか食器の運び方とか置き方が雑だってさ。細かいこと気にする連中だなぁ」
    「なんだよそれ、普通にやってたのにさ。いや、俺は結構丁寧にやってるよ。文句を言われるような適当なことしてないけどな」
    「あぁあのさ、店長が○○は普通に働いているからクビにする必要はないって言ってたらしいよ」

     かなり腹が立った。オーナーの息子は小学校高学年かせいぜい中学一年生くらいの小僧だったのだ。そんな子どもに仕事を判断される筋合いはないわ。コップ運びが簡単そうに見えてどれほどに奥深さのある作業であるか……。ボンボンのドラ息子が調子に乗り腐っておってからに、バイトひとつ探すのがどれだけ大変かチミには分かるんかい?!
     最初の反応、気分は確かにこうだった。ただ子どもというものは、大人(少し年上でも)へ対し相当に冷徹、あるいは残酷なまでの推し測りや値踏みをみたいなことをする時がある。彼らはそれぞれの人間が持っている、器の大きさや質をほとんど本能的に察知しているのかもしれないと、すぐにでも感じさせられるようになっていった。
     僕は友人にあれこれ言っている当の最中[サナカ]にも、自分の核の核にある、意識を逸らし薄目でしか見ていなかった本当に本当のどうしようもないどうしようもなさを、子どもの目で見透かされた気分になっていったのだった。努力でどうとかたまたま学校の成績がちょっと良かったとかは全く関係なく、生まれつきの問題だから絶対変えようもない「駄目」を。
     以降二度と、経営者本人は別にしてもその家族に会うことはなく、問題も自然と収束していったので、ある意味では不幸中の幸いだった。




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    カテゴリ外【3】臆病者は彼をして自ら首を絞むる~1(インチキver.)






    (1532字)
     彼ら愚かにして臆せし者は何を求めんとするか。身一つでは世の視に耐える事すら適わず、虚ろさ隠さんとする瞳に宿りし気色の憎しみにまみれつ、群れ集い周りつまらぬ嚇しを以って世へ向かわんとす。
     連れだった愚か者なる彼ら多なる者の時、相迎う世の人へ睨み付けの目を合わせ、また其の奇にして守り甘えに彩られし装の理を解すなれば、其から目を背けまたは道を譲らんかことあるいは遠ざかるを勝りての喜びとす。
     彼らなにゆえにして其処まで病むほどの臆するのうちに在るだろうか。自ら学び舎から遠ざかりて長じて歳を生くる家を共とせし者の言に耳を傾けずして、怠りに自ら落ち込むる日の繰り返しに半ば飽きつも、街のさなかへ生くる穏なる日の連なるを送る者を恨み妬み、憎しむ。憐れ限りなしに、其の情を感ずるにも当の愚かなる臆せし者達ほとほと気が付きし事薄しもまた悲しくもあらん。

     其幾く年の後について思うに、彼ら求めらるる仕えるべき先どこに在ると云うか。誤りし肉の力途半ばな物であり其処に耐え忍ぶ気なく、知乏しきに然るべき学もなく、更に何より駄の如き矜持ばかりが大に肥えん事甚だしき。
     人に蒙を指ささる事過ち認むる事適わずに、自らの傷つきやすし濡羽は既に汚れたる物で在る。其を隠しつ、交わりの中で事を見るにつけ狭き殻に閉じこもらん。「あん」「あぁん」だの如き語は喃なる物なりて、発するを其の最たる後の物として。
     熟れる事未だ知らぬ者たちにて大なる群れの悪以って害なすとして、其処に生くる事を許されざるを。または除き排されん。
     
     齢を重ねるをつとに恐れなければならぬ。彼らは知を知らぬといった事ですら暗く、唯力なき肉で在る事認めんとせず。去りし日、月に日に未だ積み重ならずの外、他の者が手を其肩に二度三度撫で慰めしの手触り伝え叩く事はなき物と、すぐにでも知らねばならぬ。
     街で視暗くせし人の姿から誤りて優れたる自らを受け取ってはならぬ。目の前より迫りしが自らの一つにして唯其れを持ち合わせん狭く貧しき地侵す事恐れ、ゆえ奇にして力への踏み越え低きを如何にも表すばかりとした姿ゆえに小さく縮こまらん。なろうとも、どのようなあばら家のためわずか少なしの糧を得るための働きにおいてをや、自らの背を隠し、身に宿す汗を顔のみなんとか拭いつ易かり怠けの日連なりへと逃げ帰らんとする彼より、真なるに近し力を持つ事何より確かなる他なし。

     違いなく報い受くる事となるだろう。其れでも嘲けりの笑い唾の混じった門の前にて、追い返しを受けぬ旨救いの手遠方より顔向けたると思い、従いを偲び屈せんとの意すら頭に欠片一つ足りとも浮かべる事なしに、ひたすらに其下おらねばならぬ。
     腹が空く事乱れ混じる末の吠え声を挙げさせ、打ち捨てられ去りし日を持つ野にのみ生くる犬の如く、他の者制し牽かせんとの企てによりて満たさるる矜持頭をもたげてこようと、決して作り物の牙をむき出すような事をしてはならぬ。
     逸する事易き振るわるる明日なき力を忘れし者共にのみ、其牙は徒らな争いを良しとせぬ者をしてあくまでも肉の表にしばし食い込む事能うだけの紛い物たらん。其を抜かんと欲す時、腐りかけた歯根痛みすら思わせずに楔横面を打ち付けらるるようにし、真を未だ得ずに力の終わりを見やる。
     
     真なりし野に放たれん生とは頼らずの姿を以って現るる。弱きを認めんとせず、自らの内を映せし鏡に飾り布を覆うが時、彼は密か滲み出る額の汗を拭うだろう。其の行い表せし愚かなるのところ目の前から失する事さらに求めらるるとして。

     此の国の者共はひどく落ち着きて穏やかさを美さとして争いを好まず。其れらは弱さではなきも異なりし物身に宿す彼らにとりて、重ねられ勘ずる誤またん末にていつの間に自ら其から上手く逃れ得たり、あるいは打ち克ちたる者で在る如く誤たり信ずる。




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    タイ旅行、後日まとめ記【7月2日】~12





    (1532字)
     服装の簡便さからしてもそうではないか、と(隣の客はおそらく現地に住まうマレー人でしょうが、別に街中では中国系やインド系の人々も多く見受けられました。彼らもだいぶ長い歴史をともにし、大小の争いはあったかもしれないにせよ、やはり共に生きるその土地の人々なのでしょう)。
     彼らも何かを注文したようでして、来た物を傍目から見た限りではレモン三分の一ほどの切れ端の入った炭酸水でしょうか。数分後テーブルに置かれた大皿には、インドのナンに似ているパンが何枚かほど。彼らは談笑をしながら時々我々のほうを気にしているらしく、少し会話の余韻を残した笑顔でこちらのほうを見てくるのでした。

     二人とも特に店の中で目立つ格好をしていたわけではありません。ただ、地元民が夕飯にしようかと馴染みの街の食堂へ行ったら、ひどく雨に降られたであろう異国人がのっそり(あるいは一見むっつり)座っていたとして、しかもその異国人が自分達の普段食べている物を何食わぬ顔でがつがつ食べているところを見たら、逆の立場でも少しは興味を持つでしょうね。
     例えば、日本の「吉野屋」で東アジア系の外国人が牛丼を食べているのを目撃したとしても、都会であるなら大して気に留めることでもないでしょう。しかし街中のこじんまりとした個人経営の大衆食堂にそんな人たちが突然扉を開けて入ってきたら、少しばかり興味を惹かれます。
     また、「吉野屋」にいる外国人が欧米人だった場合は、東アジア系の人たちに対してよりは関心を誘われるのではないでしょうか。ですが日本の中でも欧米圏の、外資系が多く進出しているような(高給取りでも、昼飯はたまにファストフードを利用するのでは)土地では珍しい光景ではないかもしれませんから、やはり土地柄によりますね。つまり、土砂降りの影響で閑散としているペナンの食堂にポツリといた、私たちの姿が少しばかり珍しかった。
     
     さて食事について。我々が注文した物は無事運ばれて来たわけですが、その直前、頼んでもいない小皿料理やらサラダやらが何故かテーブルの上に載せられていたのでした。私はその後に起こるであろう避けられない現実を想像しては、どうにも閉口しないわけにはいきませんでした。
     頼んだ品物は羊の肉と野菜を炒めたご飯でしたので、それがテーブルにあるのは当然いいのです。ただ、食事を始める前も後もなく次々と皿が運ばれるのですね。半ばわけも分からないままようやく注文した料理が目の前に現れ、さあ手をつけ始めようかとしたところで、今度は一匹丸ごとの姿煮が入った魚介カレー風、ついでにフライの盛り合わせまでが出て来る始末。円形のそれなりに大きなテーブルが皿で溢れんばかりになっていました。

     私は、正直なんとも腹立たしい気持ちになりつつありました。あくまでも単品の料理を頼んだつもりでいましたから、貧乏旅行者である私たちがコースで料理を注文するなど!!
     つまりこちらが頼んだ物以外にも勝手にテーブルの上に載せ、その分の代金まで請求されるのではないかと、何やら嫌な予感を覚えずにはいられなかったわけです。片言の英語による抗議を早速行いましたが全くウェイターには通じず、何故か口元を緩めてこちらを見ているだけ……。
     そうなってくると、さっきまでは若い旅行者に寄せているのであろう好意的に思えた笑顔すら、何らかの含みがあるものに見えてしまう被害妄想が起こってくるのですね。
     私たちはぶつぶつと一言二言口にして、結局全てを平らげました。この時点でどちらにしろ金は払わなくてはいけないことになっていたわけですから。手をつけていないのに金を払わされるのはさらに業腹ですので、胸へのつかえが大いにあったとしても、半ば自棄になった気持ちをなんとか宥めすかしつ。




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    エッセイ(物語構成)【5】人生の仕事はじめに~2





    ※色々とありまして、前回からだいぶあいだ空いてしまいました。すいません

    (1522字)
     結局あちらの提案により、バイト候補に挙げていた店の下見に行くこととなった。自分にとっては親から貰う毎月の小遣い8000円があれば大体充分で、よほど金に困るなどの事態に遭遇したりもほとんどなかった。
     働くとなれば、面倒なあれこれを当然覚えないといけないのだろうし、嫌な目にあってしまうかもしれないとの漠然とした不安はある。
     ただ、彼にはそれなりに頼み込まれたとでも言おうかノリとしては軽いものに見えはしても、やはりプライドも相応にあるに違いない高校の同級生に一緒にやろうと誘われたのだ。多少なりの恥を忍んだ発言の裏には、初めてする仕事に対しての不安があったのかもしれない。それを少しでも和らげ解消するために僕が力になってくれそうだと判断したのではないか。ある意味では負担でもあったことは認めないわけにはいかないが、同時に嬉しかったのもまた事実だ。

     その店は関東一円にフランチャイズ展開している定食屋だった。普段の通学路とは異なり駅をまたいだ反対側に位置していたために、帰りは人通りもなくなり静まり返った夜の商店街を抜けて来なくてはならなかった。結構離れた地下鉄の駅まで戻らなければならないのは少し面倒ではあったけれど……。

     人生で初めて履歴書を書き二人同時に面接を受けた。向こうからすれば友達同士の応募にはリスクを当然感じたのではと、容易に想像がつく。
     一緒に来るというのは仲が良いわけで、二人で遊びたいから休む(もちろん、はっきりと正直には言わないのが高校生の狡賢[ズルガシコ]さだ)だとか、まだそれはいいとしても『仲が悪くなったからアイツとは同じところにいたくないです』だったり、『顔を合わせたくないから辞めます』といったいささか身勝手な発言は如何にもありがちだ。偏見だが、女子学生の場合はなおさらその可能性が高いのではないかと思う。
     メリットもあると言えばある。学校帰りの短い時間が店側にとってはちょうどいいくらいだと募集をしても、長時間働きたい人間は敬遠する場合が多い。それはまあ二人連れ特有のメリットではないが、あえて言えば平日のシフトを一気に埋める人材を確保出来るという意味では都合がいい。
     もう一つ、二人で遊びたいから休むのではなく、どちらかがどうしても開けなければならない穴を友だちとして助けるために代わりに働く。といった、やや美しくもあるちょっとした青春シーン。そんなものを多少でも信じられる経営者であるならば、二人同時に雇うことも可能性としては排除しない、かもしれない。
     
     結局彼が平日の週三、残りの二日を僕が担当するシフトになった。面接の際には、休みの日には無理だと伝え漏らしがないように二度三度、半ば無遠慮なほどに伝えた。高校生には他にもやることがあるし、まあ仕方ないとでも経営者は思ってくれたのではないか。時間がかかるところから休みに来てもらうまでしなくてもと、都内在住ではない旨は強調してまでは口に出さなかったが、履歴書を一読して判断したのだろう。
     
     仕事の内容と言えば、注文を受け出来た料理を運び、食べ終わった器を流しに入れ、最後客が帰った後に冷水の入ったコップをレジの手前にある流しで洗う簡単な作業など。なにより忘れてならないメインの仕事はレジスターを担当することだ。
     テーブル三卓にカウンター六席くらいの狭い店だったので、慣れてしまえば別段大変でも難しい仕事でもない。夕食時の掻き入れ時に忙しくなる時間帯があるくらい、それが済めばもうあとは気楽なものだった。店長に聴こえない程度に、有線放送より潜めた音量で下手な鼻歌を奏でながら、適当なリズムを取ってテーブルを拭いたり割り箸の頭を揃えたり。中々上手くいってる。順調だしバイトも悪くないもんだ。




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    夢見【19】暗躍する勢力とビッグブラザーの帰還(了)






    (663字)
     電話からおかしなアナウンスがして使えない。母に相談してみたがやはりそうだったという。「デジタル電話は回線買取方式だから、旧い電話は使えなくなるとか」と父が落ち着いた口調で説明する。
     元総理K議員が電話をかけ、故障した際強制的に繋がる回線のオペレーターと話をしているが埒が明かないのだとか。さらに彼が近所に頼んで合計十数件の電話からかけたところ、ほとんど専用オペレーター以外には繋がらないようだ。いつの間にかその頭は随分と白髪が増えているように見えた。それでも何件かはまともに外線を使える電話があるとのこと。I議員も別の場所で同じことをしている。

     故人であるはずの某政治家が入院先で無事手術を終え、そこを後にする場面。正面玄関から出てきた彼は少し空を仰ぎ見て、一瞬目を細める。入口付近で立ち止まる姿をこちらは植え込みの隙間から覗き見ている視線だった。
     病院スタッフがずらっと並んで退院を見送るつもりか、全く大袈裟に見せないほど真摯に心からの一糸乱れぬ最敬礼をしている。
     しかしその服装を見ると白衣や事務職員用の地味な制服ではなく、襟の大きなクリーム色のブレザーで縁の部分は黒く厚いビロードの生地で装飾され、両胸を肩口から胴まで横幅十五センチ程度に金糸で蔓草模様が薄く刺繍されている。まるで、東京あたりにでもありそうな高級ホテルで採用されていても不自然でない、瀟洒なデザインだ。
     彼の髪の毛は年齢にしては真っ黒でものすごい量があり、偽物ではないかと思えるほどだったが、質感や生え際、風になびく様子を見ているとどうやら本物のようだ。




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