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    夢見集【4】~【8】『TVの向こう側』/『私の家は盛り土の上に不安定に拵えられ』/『知らない夜のなか』/『ここは男塾ですか?』/『女子高生になったしずかちゃん』





    【4】『TVの向こう側』(1269字)
    〔1〕/〔1〕
     何かのニュースが一連の流れに沿って伝えられた。そらで原稿を読み上げている女性アナウンサーKが目の前のテーブルに一瞬視線を落とし、再び正面を向く。VTRが始まり現場の様子が映される。予定通りの場面がカメラに収まり決められた手順で必要な内容が伝えられたということは、視聴者にはいつもの流れと同じといった感じで、しっかり違和感なく受け止められていた。
     観ている側は、予定されていた映像が終われば彼女が次のテーマに移るために別の原稿を読み始めるのかと思っていたが、そんな素振りは一切なかった。

     VTRが終わりスタジオからの映像に切り替わると、アナウンサーのKは正面のカメラを見据えながら、一言二言と口許から何か言葉が発していることが分かる。それは、こちらが聞き取れないくらいの小声で何かを伝えようとしているようだった。視聴者はみな拍子抜けした感じを受け、続いて少しだけ不安な気分になっていた。
     音声が正常な状態になると、まるでNHK解説委員にでもなったつもりでいるのか、ニュースについての個人的な見解を述べているような彼女の姿が。アナウンサーなのにこんなことを言って大丈夫なんだろうかと、ちょっとしたハプニング映像を見て得した気分に私はなる。

     コメントを正面のカメラに向かって喋り続けるKの周りに、三人の男女が現れる。黒いTシャツやトレーナーに下はGパン。腰のベルトには複数の小物入れがぶら下がっている。私はあれがADなのだろうということを理解する。民放の特にお笑い番組でADがいじられ半分に画面に映る場合、大体ああいった格好をしていたのを思い出したからだ。
     三人は全員が立った状態でアナウンサーの周りを取り囲み、各々が髪の毛や化粧をチェックしたり、服装を整えつつほこりなどを払っていた。一連の作業の様子がずっと画面に映りこんでいた。まるで出演寸前の待機中タレントの風景を映したみたいだと思ったが、服装を手直ししているスタッフはカメラに映っている自分の姿には関心がないのか、全く気に留めていないように見える。
     画面に映ることがあらかじめ想定されている場合は黒子の格好になるはずではなかったか?    彼らの様子を見ていると自分の姿がカメラには映らないことを確信しているのだろうかと、そんな考えすら頭の中に浮かぶのだった。

     どうやら自分たちスタッフがアナウンサーの姿を隠そうとも、放送時は顔を半分以上はカメラに見せる、といった内部のルールさえ守っていれば良いらしい。
     俯いた表情は目を閉じているように、それでも長い睫毛が時々動きを見せる様子には沈黙を誘おうとしているとも、あるいはいくらか妖艶な雰囲気すらある。まばたきをしていることがこちらにも微かに理解出来た。

     現在読み上げている先ほどのニュースについての原稿は、口調は普段のニュースを読むときと全く同じ調子と言えるかもしれない。抑揚の押さえられ落ち着いた感じはアナウンサーに求められる平均的な話し方だったが、その内容をよく聞いてみるとやはり解説委員よろしくなかなか的を射た発言をしているなと、私は少し感心したのだった。





    【5】『私の家は盛り土の上に不安定に拵えられ』(1544字)
    〔1〕/〔2〕
     私の家は盛り土の上に不安定に拵えられた家だった。周囲は暗闇で一連の建物以外何も見えない。家の隣には内部に洋式トイレが二つだけぽつんと並んで設置された、コンクリート打ちっぱなしのトイレ専用棟が直方体にそびえている。
     高さは3.5~4メートルくらい。一見して出来の悪い前衛建築っぽくもあって、隣の和風の母屋とはまったく趣が異なる。不釣り合いというか気味が悪いくらいに違和感があると一瞬感じながらも、しかしそんなことよりも住むとなったからには実際上の問題のほうが気になった。一旦外に出なければトイレが使えないのではないかと、私はそのことが不便だと考えるが、少ししてからトイレは不浄のものだから本来は居住スペースから離されていて、外側から見えない造りにしてあるのが正しいことなのかもしれないと思うようになっていた。
     母屋を見に行く前にトイレ専用塔の内部が具体的にどうなっているかを確認したいと、先にそちらに向かう。想像以上に汚なく、空気が淀んでいるのだった。扉を開けた瞬間に足元の近くを気味の悪い虫が一匹通り過ぎて行った。嫌な雰囲気以外何も感じない。
     そういえばトイレ専用棟の入り口の鍵が閉まっていなかったと気づく。無用心だなと、公衆便所で一般的に使われる鍵に似た形状であることを確認してから閉めるが、親はこれからもどうせ閉めないだろうに私だけが気苦労をしているように思う。

     母屋のほうは以前住んでいた家と違い、築年数は一世紀近いとも見える純和風のはっきりいえばほとんど廃屋だった。その家は近くにまで電気が引き入れられていないのが分かった。電柱などはどこにもなく、当然暗闇の中に視線を泳がせても電線は一向に見当たらないのだ。
     いつの間にか上空からの月の光が家の周囲を照らし、空は見上げずにいても家の中が微かにぼんやりと浮かんで見える様子からして、三日月から半月程度の明るさだろうと察する。それでも相変わらず薄暗く、家屋から十数メートル離れた先になると全く先を見渡すことが出来ないほどの分厚い闇に塗り固められている。


    〔2〕/〔2〕
     所々が破れた障子から部屋の中が覗けた。障子は立て付けが悪いのか少し斜めに傾き、五十センチほど開かれている。……以前に住んでいた人間がこの家を去った時から誰も手を付けていないのではないかと想像する。
     家の外周をゆっくり見て廻ったが、とても小さな家だ。平屋建てで大体六畳間が三部屋といったところか。再び障子の隙間から部屋を見ると、そこはどうやら寝室のようで家具は一切なく、方々が傷んでいるらしい井草の飛び出している箇所がやたら目につく畳だけが残されていた。畳の中央はいびつな形で凹み、周囲は特に傷みが激しかった。薄暗い部屋の中、畳が青白くかすかに光っているのが見える。
     母屋の玄関は横開きで表面の模様がわずかな凹凸になっている、半透明のガラス製の引き戸だった。鍵がしっかりかかっていないということに、私はまたしても少し気を揉む。

     家の中心にはかなり立派な太い大黒柱があり、その頂点から少し下の部分を梁が何本か通っていた。一本は柱に開けた穴にしっかり固定されていたが、残り数本は薄いくぼみを作って柱に対して強引に嵌め込んだり、さらにはその上にただ乗っけて軽く引っ掛けたりしているだけのものまであった。随分と適当に造ってあると思わせた。
     それが部屋の天井を支えているとは言っても、よく見ると梁は部屋の端のほうでは壁にまで達しておらず、遊んでいる部分がある。つまり、天井の端のほうは梁に支えられていない。
     家の骨組みの造りはかなり雑で、雨露をしのぐのがやっとという感じの印象を与える。多分、以前住んでいた人が一人でこの家を建てたんだろう。そうやって考えるとまあまあ立派なものなのかもしれないと思い直すことにした。





    【6】『知らない夜のなか』(620字)
    〔1〕/〔1〕
     祭りの夜だった。頭に届きそうな高さに照明用の電線があちらこちらに張り巡らされ、近づけば火傷しかねないくらい白熱電球がどぎつい程に輝き、夜の闇を追い払う。出店が向い合って列をなし狭い通りを形成していた。人々が作り出す熱気とざわめき、油や種々の調味料が熱い鉄板で焼かれる匂い、テントの隙間を縫うように上空に沸き上がる蒸気、様々に他愛のない遊びに興じる男女または親子の歓声が周囲に溢れる。その通りを歩いている私。

     露店は連続して並んでいるが、ちょうど敷地の角にあたる部分には落葉樹の大木があった。その近くを設置場所とする人々は木を背にしてというわけにはいかないので少しばかり間を空け、太い幹をぎりぎり避けるようにずらした位置にテントを張ることになる。つまり大木の目の前は、ちょっとした空きスペースとなっていた。そこはいつの間にか、祭りに疲れた人間のしばしの憩いの場となっていたのだった。

     私は背を凭せ掛け、しばし人を待っている。友人だった。かつての友人、今でもそのつもりだったが、向こうはどう思っているのか分からない。失言によってプツリ  と糸が切れたあの時。

     誰も来そうもない。知らない街でいつかに行われる祭りは、なんとなく怖い。街中をさまよっていると次第に闇の中で薄ぼんやりした提灯が手招きをしている。懐かしい人と再会出来そうな少しズレた世界に入り込んだことを、闇の濃さ、周囲の人々の笑い声、そして自分の足音がいつもより大きなものとなっていることからそう感じる。





    【7】『ここは男塾ですか?』(969字)
    〔1〕/〔1〕
     周囲は真夜中か、ものすごく高い鉄塔に命綱無しで複数の人間が登っている。その周辺だけが闇の中で浮かび上がり照らされている。全員で三十人近くはいるか。思い々々、とりあえず現段階で辿り着ける各自の実力に見合った場所に立ち、ある者は休憩しまたある者はさらに先を目指す。見た目はありふれた高圧鉄塔のような感じだ。
     いくらか斜めになっているために、全長の割に地表面からの高さは実際の六、七割くらいだろう。それにしてもやはり相当の高所であることには変わりない。
     全長は7、80メートル程度、実際に登った際の頂点の高さは大体50メートル近いのではないか。にも関わらず、みな実に楽しそうに精力的に取り組んでいる。あるいは、気楽に何の思うところもなしに近くの同級生と雑談をしながらの姿からして、まるでさらに年少の子供達が校庭のジャングルジムに休み時間に登る感覚とほとんど変わりなく見える。どうやら学校行事だという。
     中には手放しになって鉄骨に脚だけを乗せた状態から、大きく真上にジャンプするような強者もいる。それに成功した際には笑顔で地面の引率の教師に向かって大きく手を振り、また再び頂きを目指すのだ。

     クラス単位で参加しているらしく、途中経過として体育教師に点呼をとられる。各クラスのメンバーが元気良く答えるが、五組はその時ちょうど到着した学級委員のメガネ君一人だけしかいなかった。身体は細く、身長も160センチいかないくらいの小柄な少年だ。耳の上部から下をぐるりと刈り上げた小ざっぱりとした髪型をして、公立の中学校にありがちな白の体操着を着ている。上は半袖で下は紺色のジャージという格好だ。
     どうやら、やはりこの異常な鉄人レースは学年の行事として取り組んでいるそうで、ただ今年の五組はあまり運動神経に優れた生徒がいないのだ。彼以外、残念ながらここまでは辿り着いていなかった。やがて姿を見せるはずのクラスの仲間の分まで応えられればと、メガネ君は直立不動で幾分顔を斜めに向け、喉を嗄らしかねないほどの大声で返事をする。一瞬は周囲全体に響き渡るまで届き、先んじて鉄塔に登る生徒一同の中でも特に雑談に興じていた連中を沈黙させた。
     しかし十秒も経たずに分厚い暗闇の壁へ吸い込まれて余韻を残さず消えると同時、劣らずの音量をした怒声で体育教師に人数が少な過ぎると叱責されてしまう。





    【8】『女子高生になったしずかちゃん』(1358字)
    〔1〕/〔1〕
     教室を出てすぐの廊下で制服を着た二人の女の子が向かい合っている。背格好や顔つきからして女子高生だと思える。一人はドラえもんの『しずかちゃん』によく似た正統派美少女といった感じだ。かなりリアルで実写のような人物、ただタレントの誰かに似ているわけではない。
    ――普段から宿す温もりを瞳はこの瞬間も劣ろわせず、頬は多少青白い地の肌へごく薄い化粧をしたくらいの光沢がかえって若い真珠の清純を思わせ、そして例のお下げ髪をしている。おそらく普段はちょうど良くおとなしくちょうど良く控えめで、人には優しくそして頭がいいのだろう。
     もう一方は肩口までのストレートの黒髪、向かい合う相手より頭半個分の上背がありスラリとした体型をしているが、年齢相応の肉付きからくる丸みがなく、長身男性の痩せ体型が近い。眉は自然な流線形で細く柔く女性的なものであるため、眉間に寄せられるシワは似つかわしくない。それは単なる怒りや不快の表れとしてだけでなく、痛々しい訴えかけをしているようにすら見える。
     対照する冷徹な視線、そっと確かに閉じられた口元にはなんの表情もない。あるいは、抑えられている。にじみ出る内面の厳しさが他人を遠ざけかねないとの印象を傍目から受けたが、こちらも同様に美人だった。

     いくらかリアルさは薄れ、より漫画的な映像へ。展開は急に早まる。
     しずかちゃん風は流石に今回は堪忍袋の緒が切れたと言わんばかりに、今にも取っ組み合わんとしていた。対する相手もそれを迎え撃つ気、十分。
     ケンカが始まったことを担任の四十手前くらいの男性教師に教えに来る女子生徒。いつもは熱血と妙案でクラスを上手く纏めてきていて、ただ二人の間にはかなり複雑なこじれがあり、根本的な解決はなされていなかった。担任の彼はしまったと、自分の不注意と不発に終わった失策の数々を悔いながらも一刻も早く駆けつけるために全力で走る。

     しずかちゃん風がケンカに勝つ。周りで見ていた生徒がモップなどを手に持っている。場面(カメラ)が切り替わり、モップやほうきで地面の方を思い切り叩いたり突いたりしている。
     これは映像としては、ケンカに勝ったほうがまだ多少の熱気を含んだ顔で傍観あるいは見下ろしている中で、彼女の友達が相手(ライバル)の倒れたところに追い打ちをかけてメッタメタにしている状況にも映る(実際に打たれている姿は見えない)。その場面ではまるで漫画のように、地面が見えなくなるほどの砂埃が巻き起っている演出がされた。
     やっと担任がたどり着くと、実は叩きつけていたと見えていたモップやほうきなどで床を掃除していた。どうやら掃除の遣り方が取っ組み合いの原因だったとかで、今では二人は和解して皆で楽しく掃除をしているのだった。それを見てホッと胸を撫で下ろす男性教師。

    夢を振り返って:夢の内部にいるとき、私はこの設定は何度も見たことがあるやつだと気づいたつもりになり、内容も見知ったいつかのものになっているのだろうかと観察する心持ちでいた。起床してから再度振り返るとそんなことはなく初めての設定だった。何度も同じ設定を見たりするのはほとんどなく、せいぜい場面の雰囲気や展開に多少の類似が認めれられるといった程度はあるかもしれない
    代わりに、上で述べた通り「これは昔にも一回あったな」や「以前に見た夢の続きだ」との勘違いというか今回のような思い込みは結構あるのだ。夢とは実に面白いものである




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