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    夢見集【13】~【17】『仁義と学園都市とたまたま銀髪~そして伝説へ』/『元気だせよ、マイフレンド!!』/『退屈な胆試しツアー』/『揺れる』/『イミテーションと公共放送』






    【13】『仁義と学園都市とたまたま銀髪~そして伝説へ』(1435字)
    〔1〕/〔1〕
     頭の上には石造りの凝った意匠をしたアーチ型アーケードが横幅3mくらいあり、ずっと街の端まで続いている。その一方で近代的な駅舎やショッピングモールもある。学園都市のような雰囲気もなくはない。

     歩いていると不良に絡まれる。髪の毛は今風の若者っぽい、無造作系みたいなもので、濃い目の銀色に染めている。どちらかと言えばヤンキーよりはチーマーか、そんな感じだといっていい。
     場所が突然変わり、夜の廃材置き場のようなところに移る。相手は複数いるらしいが、目の前にいるのは二人。一人はナイフを持ってちゃかちゃかと振り回している。もう片方は握り拳に一連となった金属の太い指輪、つまりメリケンサックを嵌めているのだ。
     周りは高いフェンスに囲まれているので、よじ登って逃げるにしても相手がまともに動ける状態では背中を見せる訳にはいかなかった。
     近くにチェーンが落ちているのを発見しとりあえず、それを拾い応戦する。なんとか手に持っているナイフをはたき落とし、メリケンサックの不良に対しては肩口を思いっきり引っ叩いた[ヒッパタイタ]。怯んだ隙に何とか逃げることに成功する。

     街中を歩いていると、様々な人に声を掛けられ挨拶をされるのだった。そのたびにこちらもかなり深くおじぎを返した。
     それこそ老若男女――洒落た服装に皆スタイルが良く、まるでFFの世界のようだ。8のシド学園長に似た男性ともすれ違って会釈をされる。自分って人気者なんだと嬉しくなり、自然と笑みが溢れていることに気づく。
     真後ろからするハーッハーッと荒い息漏れ声に気がついて振り返ると、先ほどのチーマー(意外に小柄)が後ろにピタリとついてきていた。どうやら私の舎弟になったのだ。

     歩いていると今度は違う不良グループに絡まれる。全員青い髪をしている、10人くらいの集団だ。
     3m以上の馬鹿でかい奴もいれば、普通サイズから妙に小さい人間もいる。男女年齢も色々だ。
     身長や体型、主に立場などから彼らにはちょうどいい自分たちの立ち位置が決まっているらしく、巨人の如き男は中央後ろでまさに仁王のようにどしりと構え、こちらから見ると斜めに向いている着流し無精髭の男、両の腕は組まれた状態で袖口に隠され、口に咥える長楊枝をくゆらせ紋次郎を気取り、ピエロの格好をして片手で逆立ちをしつつ足で器用にジャグリングをしている小猿のような子供、顔に手を当てどこまでも伸びる舌でその指を扇情的に舐め回しながら、エロティックなポージングをしている異様に足の長いセクシー女、キッキッキッと不気味な笑い声を上げ鉤爪を舌なめずりしている黒目のない小男、彼らはまるで破天荒・ファンタジー不良マンガの悪役総集結といった面持ちですらある。あるいは男塾やら、なんたら忍法帖だ。

     舎弟になった銀髪が前にしゃしゃり出るなり、いきなり大人数に飛びかかる。カポエイラさながらに倒立してからの足技を繰り出した。
     相手も相当強そうに見えたが小柄な元不良はさらに化け物じみた強さのなのだ。1対10人で全く引けをとらなかった。それどころか、打ちのめされ地面に倒れる青髪が2人、3人と徐々にその数を増やす。
     次第に彼の銀髪は青髪に染まり、その姿はてろっとした表面のアニメキャラクターに変化していくのだった。ついでに性別も男から女になったかのように、体型が細く顔つきもいくらか違って見えた。

    夢を振り返って:破天荒・ファンタジー不良マンガとは島本雅彦っぽい漫画のことだ。彼の作品はあまり読んだことはないが……





    【14】『元気だせよ、マイフレンド!!』(1070字)
    〔1〕/〔1〕
     十歳前後の子どもと一緒にいる。どこかの大きな街の一角。
     周囲にはゴミが散乱し、巨大な鉄製のゴミ用コンテナが三台ほど横に並んでいる。ショッピングセンターの裏口のゴミ置き場あたりにでもいるような感じか。目の前には表面に無数の凸凹のある、やたらに頑丈そうなどぎついピンク色をした店の外壁がそびえている。街や周囲、コンテナの外観などからしても、雰囲気としてはアメリカ都市部のスラム地区に近い繁華な通りといったところ。
     子供はあまり元気が無い。家族がどこかにいなくなったそうだ。こちらに顔を背け、足下の見えもしない小石でも蹴り転がしている様子には声をかけたくともなんて言ったらいいか……。

     早速探していた人が見つかったと報告がある。伝えてきたのは以前の職場で一緒に働いていた、口が悪く鼻の大きなおばさんだった。
     子供の母親が見つかった場所にはコメディアンKの愛人もいたという。そこは日本の地方都市によくある個人経営スーパーっぽい、活気のない退屈な雰囲気だ。店内の作りは大手と大体が似ているものの、棚の中身はスカスカで品目も少ない。店内に装飾類はなく、殺風景にすら見えるほど白一色に統一されている。

     子供は用を終え帰途についていた。近いうちに母親と再会出来るだろう。どこかで親子は落ち合うとも思えたが、彼は自分の親を恥じているかのように、あるいは憎み悲しんでいる複雑な心を俯いた背中は語っていた。

     20m近く離れた後ろ姿に向かって、私は「バッカヤローー!」と元気に声をかけた。仲間内では時として、互いが唐突も唐突の大声で――怒鳴り合う。感情を整理せず理解せず、それに追い付かれる前にただただ分かりやすい言葉にして外へ放り投げる。そのまさにあまりの馬鹿馬鹿しさとあけすけさ、屈託の無さを無理にでも打ち出す。やがて本当の笑顔を引き出すことが狙いのコミュニケーションだった。
     ただ、振り向いた少年が返したものはつまらない大人同士が普通に交わす挨拶で、まだ幼い姿、声をもってしてはより切ない、ただの小さく力ない笑顔。
     いまの様子を見ていると、こちらが大声で気持ちを奮起させようとするのも調子ハズレな状況だし、今回はそんな気分じゃないのだろう止めておこうかと、寂しくありつつも躊躇しないわけにもいかない気分になっていた。
     一旦前に歩き出し数m遠ざかってから突然に振り返り、笑顔はちょっとぎこちないものだったがそれでも子供らしい良い笑顔で「バッカァヤロォォーーー!!」の返事が、車線を隔てた街のメインストリートから周囲一杯に響く。いつもは嫌がって調子を抑えていた自分の甲高い声を厭うこともなく、全力で。
     なんだかとても嬉しくなって、大きく手を振る。彼は私の友達なのだ。

    夢を振り返って:ベルトスクロールアクションゲームの『ファイナルファイト』(カプコン)の舞台を知っている人ならば、あんなふうだと思ってもらいたい





    【15】『退屈な胆試しツアー』(805字)
    〔1〕/〔1〕
     黒くジメジメとした地面。一日中まともに日が射すことがなく、完全に乾ききらず湿ったまま固まった大きめの土塊がそこかしこにごろりと転がっている。歩くたびに靴底の溝に柔らかくも粘りつく土が入り込む。
     墓石が見える。後ろにはそれよりもいくらか高い、錆びた鉄の棒が数本刺さっている。棒の上部には裸電球がひとつ備え付けられているとはいっても、なんとか明かりの周囲が頼りなく見える程度に過ぎず、少し離れた辺りは新月の夜と感じるほどただ暗い。
     老人が私を含めた五人くらいを引き連れて何かを案内するかのように、どこかへ向かう。墓石の前に向かう道は、人ひとりがすれ違えるくらいの幅に柵がされているのだった。
     目的の場所の前に行くたびに目の前の墓石の意匠に関してだったり、葬られている人物にまつわるちょっとしたエピソードを話す。その際には必ず軽いジョークを交える。私はなかなか気の利いた墓守だと思い、彼の軽口についつい声を出して笑ってしまう。近くにいる同行している人間もつられて笑う。

     それぞれの石はちょっとした仕掛けが施されていて、少しずつデザインも違っている。
     電球を括りつけておく棒から垂れ下がっている紐を引いたりすると地面に突然穴が開いたり(おそらく骨壷か遺体の入った棺を収める穴)、墓石自身が左右に踊ってグラグラ、さらに何もない中空からびっくり箱の中身のような、バネの収縮を利用して目の前の人間を驚かす、ちぐはぐな目とパッチワークの原色のベスト、三角帽をかぶった雑な作りのいくらか不気味なピエロの人形だったりが飛び出してきたりする。
     墓場では周回コースが決まっているみたいで、順番に墓の前まで歩きながら出口を目指しているらしい。目に前にたどり着くたびに墓守は前と似たことを繰り返す。次第に皆がうんざりしだしているようだった。老人のジョークに対しても誰も反応しなくなっていた。私だけは相変わらず面白いと思って、自然と笑ってしまっていた。





    【16】『揺れる』(1120字)
    〔1〕/〔1〕
     大地震に襲われる。家で寝ていて頭まで布団をかぶっている。揺れが収まるまでじっとしているしかないとまんじりともせずに、それでいて身体の表面積は出来るだけ小さくしておこうと丸まることにした。なかなか収まらない。重量による強い圧力で頑丈に組み合わされ、普段は絶対に動かせないような家屋の接合部が『ガーガー』と鳴るくらいの揺れだった。ガタガタではなく、『ガーガー』である。
     震度は間違い無く7だった。家が潰れないのでこんな古い木造の家なのに随分と頑丈だなと、驚くとともに安堵する。十年以上前に行った外壁補強のおかげだろうかとも思ったがよく分からない。
     しかし数秒後、徐々だが静まりかけているかに感じられた揺れが再び大きくなりだした。今度は反対方向への激しい横揺れが始まる。すると気持ちは一変し、次の瞬間には二階部分を支えていた柱が折れ下が圧し潰されてしまうのではないかという、不吉な想像が突然、そしてじわりと胸に迫る。
     そうなればもう助からない。床がすっぽり下に落ちるだるま落としのような光景、もちろん自分も一緒にだ。無事では済まないだろう。

     相変わらず揺れている。部屋の中にはいくつもの重たい家具が布団を囲む格好に屹立している。こうなっては自分にやれることは限られているがと、今ではほとんど諦めに支配されているものの、半ばヤケクソ気味に両足を天井にむけて突き出してみる。うつ伏せになって寝ているので、その格好はさながらプロレス技の逆エビ固め一人バージョンといったところだった。
     そのときに考えたことは、倒れこんできた家具を掛け布団が覆いかぶさる形で上に突き上げた足へとうまい具合に一旦載せられれば、少しの間は支えながらゆっくりと脇に下ろせるかもしれないという、馬鹿力ならぬ火事場の馬鹿閃きだ。一瞬でも自分の脚力で耐えられないものであったとしても、足にぶつかって倒れる場所が逸れてくれればいいのではないかと。
     幸い分厚い掛け布団に守られているので、家具を受け止めたとしても足に与えるショックは小さくてすむかもしれない。足が伸びきった状態の上に相当の重量物が載ってしまうのが一番まずい。特に地面が上下左右と大きく揺れるにただ体を任せざるを得ないこの今の状態では、そこから持ち上げ隙間を作って引き抜く作業は困難なものだろう。極限的な状況の中で自分に出来ることは何かないのか、考えた挙句に勝手にそう思っただけだが。

     目が覚める。地震はいまだに収まっていない。一体どれだけ続いている。鼓動が激しくなる――夢じゃなくて本当に大地震が起きたんだ。

     次に本当に目が覚める。家は揺れていない。一人逆エビ固めの体勢もとっていない。『ガーガー』といった音が耳に残っている……。





    【17】『イミテーションと公共放送』(1550字)
    〔1〕/〔1〕
     NHKを観ている。番宣番組のような感じだった。最近のNHKはそういった番組編成がかなりの時間を占めており、新たに放送されるシリーズなどをダイジェストを交えて紹介することのみに数分の枠が費やされるのだ。
     視聴者へごり押ししたい番組の放送時期が近づくと、それ以外の通常営業にある番組のエンディングと次のオープニングが始まるまでの短い合間などを利用して、必ずなんらかの短縮バージョンが挟まれる。私は『放送開始までもうすぐ、○○特集』がこれから始まろうとするところで、ちょうどリモコンのスイッチを入れたみたいだった。そしてなんとも辟易した。「またかぃ、しつこいなぁ」

     ただ、今回の番組は本放送などを細切れに伝えることはせず、番組の出演者だか、とにかくゆかりのあるゲストを呼び話を聴くという構成のようだった。聞き役は紺色のスーツをきっちりと着ている細身の男性アナウンサー。名前は出てこないが、子供のような顔をしている三十少し過ぎくらいの若手の一人だ。顔はなんとも童顔だったが鼻が人より心持ち大きく、口ひげは画面を通しても少し濃いなと分かる程度に生えていた。
     ゲストはH・A、アナウンサーに紹介されアップになったところで、ものすごく私の好みの顔だと画面に思わず釘づけになった。長い髪にゆるやかなウェーブがかかり、品の良さとほんの抑えられた程度の静かな色香。細い縁の眼鏡を掛けて目はぱっちりとしている。
     輪郭も綺麗な卵型と言ったらいいだろうか、鼻筋は通っているが低過ぎず高過ぎず、唇は昨今流行りの肉厚なものではなく横にも控えめな大きさだ。頬は化粧のせいか血色が良く映り、肉付きは若干薄めで化粧は全体としては抑えられたもの。ちなみに服装は、光沢の落ち着いた水色でさらりとした質感のカジュアルドレスだった。
     彼女のことは昔から知っていたはずで、それなのに何故か名前を言われるまで分からないくらいかつての顔とは異なって見えていた。

     久しぶりのメディア出演となる彼女の近況報告から始まる。どうやらIT系だか新興企業の経営者と結婚したというのは、暮らしぶりを語るそれっぽい口調や内容から何となく分かる。
     まあこんな感じが上々のアガり方なのだと思う。言っちゃ悪いが、はっきり言って一発屋だったのだ。賞味期限が切れるまえにどこかの社長と結婚して悠々自適の生活とは、これまたうまい具合に玉の輿に乗ったというものだ。いまでは旦那の金でエステやら旅行やら、遊び半分の思いつき起業なんかもやりたい放題なのだろう。

     番宣に関わることか近況報告の続きか分からないが、とある職業について語った彼女の態度が男性アナウンサーの気に触ったようだった。
    「そんな程度でしかない仕事とは、どういう意味ですか」
     少し気圧され気味になりながらも、あくまで余裕を失っていないと示すために自然に見える笑顔を決して絶やさない。しかし感情は抑えられず、無理がたたって口元が多少痙攣しているのだった。
    「ところで、あなたのお名前はなんとおっしゃいましたか?」
     H・Aはなぜか聞いているはずのアナウンサーの名前を知ろうとする。というよりも、相手の口から再び言わせることを目的としていた。それはとりもなおさず、アナウンサーごときの名前などいちいち憶えている必要はないとの挑発的な表明でもあった。

     その質問に笑顔で簡潔に答えると、表情は数秒前の取調室の検察官然とした謹厳なものに一瞬で戻った。再び同じ趣旨の質問を繰り返す。
     心持ち体勢を整えるため、肘置きに置かれた両手で身体を椅子の奥に移動する。そして心理的優位の表現と、尊大さを遠慮無く主張するステージのちょうど中間くらいの地点にまで一気に踏み込むよう、いままで揃えていた長い脚を大袈裟に組む。
    「その意味はね、あのね、ところで……あなたのお名前はなんとおっしゃいましたっけ?」
     私はH・Aは整形したのだとその時にやっと気がついた。




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