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    日記2004を通しで【3】『ああ、掃除日和かな?』





    【3】『嗚呼、掃除日和かな?』(3401字/2004年2月15日に記す/2013年10月補筆修正)
    〔1〕/〔3〕
     Hello!! 兄の部屋へ出入りしているおばあさんの立てる音が聞こえ、目が醒める。
     覗いてみるとかなり重そうな荷物(ダンボール)を運ぼうとしていた。放っておくわけにもいかないかなと、眠い頭を冷水で驚かしつつ徐々に現実の世界に足を踏み入れる。

     正直に言って、目覚めの一発にいきなりこんなことを手伝わされたら面倒だとばかり思っていた。
     しかし、おばあさんの必死で困り果て少し悲しんでもいるかの顔を近くに知りつつ、見て見ぬ振りは難しい。
     しかも動かそうとしていた荷物はかなり大きく多分に重量もあるようで、一人で持ち上げでもしようものなら膝や腰に負担が掛るだろうし――後で私が確認した限りでは、やはりおばあさん一人ではまず不可能なくらいの重量だった――、ひょっとしたら心臓に悪いのではないか?
     ズボンを履きベルトを締め、たまたま通りかかった調子でこちらにまだ気づいていない相手に声を掛けることにした。

     途中々々で何度も放り出したくなってしまう(別に本人が実家に帰ってくるでもないのに何故部屋の整理をするのか、連絡があってからでもいいのでは)仕事だったが、やはりおばあさんの顔をふと見るとここで面倒臭がって止めるわけにはいかないなあと感じさせられ、やっぱり部屋を出てしまおうかもしくは「今日はもう止めちまおうよ」と、迷いながらに幾度もかの説得が結局二の足を踏むことになる。
     仕事が終わりお好み焼きを作ってもらう。古い牛肉を使い切れてこれはこれで良かった。いつもの通り安定した味であるが、感謝の言葉がトッピングについていた。
     
     次に下駄箱中段の空白スペース(何と言うのか分からん)を片付けないかとの、勢い付いたおばあさんから提案。
     一度掃除心に火がつくと、意外と止め時を見失うほどにのめり込んでしまうことにもなるというものだ。その際一計を案じ、普段非協力的な当事者の妹にも参加してもらうための方策をおばあさんに伝授した。
     彼女の、本人もとうに存在を頭から抹消している古びて汚れた雑誌類や小物、どっかの心理セミナーから送られてきた案内書、下半分がちぎれ当然中の入っていないスナック菓子の外装用の型紙パックやら、くるりと内側に丸まり筒状になったコミックス、ラベルがとうに剥がれ伸びきった音楽テープといったものが、全く整理されることなく乱雑に下駄箱の中段に置いてある。

     ゴミ捨て場といってもいいくらいで、処理に困った物たちが一時的に避難する場所になっているのだが、大小様々の物品は『サイダーハウス・ルール』(ジョン・アーヴィング)「セント・クラウズ」のホーマー・ウェルズの持ち物のように、【いつまでもそこに――時に何度かは手に持たれ、数秒間のそのものの行く先についての思いがなされたとせよ、やはり(確実に)一時間後には――あった】
     とても良い考えを頭に浮かべ、私はなにやら上機嫌だった。
     というのもいつまでもゴミを捨てたがらない人間を相手にする際には、敢えて強制的に処断する少々強引な手合いに物を捨ててしまう選択も、ときには取り得る有効な手段の一つであると気づいたからだ。


    〔2〕/〔3〕
     本人自らもゴミであることを内心では認めていないわけでもないのだが、口にするのを何故か避けるのが大抵なのである(『確かにいらない』とは口に出来ない理由があるというよりも、むしろ判断する行為自体を億劫であるとする感覚が強い)。
     そのときに重要な物(本人が思う)や価値のある物(本人が思う)を、しっかりと確認した上で取っておく態度を示すのが大切なのだ。そうすることによって『全てを何でもかんでも捨てるわけではないんだな』と少しばかり気を許し、次第に警戒感を解いてくれると期待出来る。

     ある程度は強硬手段を、あくまでもある程度は許容可能な範囲に受け取ってくれるのだ。少なくとも安定した処理のペースが続いているあいだは、常に作業の手を止めて話し合いを持つことが出来るくらいに相手も落ち着いている。
     実はそのような状態が続いている限り、普段進んで物を捨てたがらない人間も『ああ、そういえばこんなものもあったか。だけど取り立てて必要とするものではないな』などと気持ちも柔軟になり、わざわざ元に戻したりはしないのである。
     基本的に面倒臭がりの人間の性質を逆手に取る――というと聞こえは悪いが――やり方なのだ。

     私はとりあえず自室でゲームをやりながら、ひそかに妹とおばあさんの捗り具合の様子を窺い、停滞気味になりかかったところでやがて階段を降りていった。
     もちろんこれらのやり方が逆効果である場合も少なくはないだろうが、こればかりはどうしようもなく現実的な要請の点からいっても、まずはやらざるを得ない。
     だとすれば、以降も試行錯誤を忘れず当人の意志を相当に尊重する行動規範を旨として、これがとりあえずの始まりにあってはベターだと結論が導き出されることも、それほど不自然なものではない。

     物に対する収集――というより、少なくしか捨てられずに多くを集めてしまう癖(正確には要る物と要らない物を区別出来ない、あるいはしたがらない)は多少の差こそあれ、一定程度は多くの人間に存在する囚われ的な情緒の姿であって、彼女の場合も如何にも病的な現れではないのではないか。
     そう思いたい気持ちもあるし、真も多少ならずあるのではないか? 
     一方で単に、私の掃除心の火がいつの間にか最初に事を始めたおばあさん以上にかなり勢いがつき、早目の昼食から昼下がりを迎えた時間帯でも相変わらず燻っていたので、傍から見た姿は半ば強引に付きあわせている感じにも見えなくもないのだったろう。


    〔3〕/〔3〕
     夕方からは両親の部屋の物品移動をする。仏壇はかなり重く、普段は不信心の父が何故か仏壇の中の曼荼羅を殊更慎重に扱うのは、なんとも違和感があり可笑しくもある。
     結局洋服ダンスに本棚、小さめの雑用ダンスと決められた順番で広くもない部屋内を倉庫番さながらに運び、私の替えたばかりのシャツはほこりと汗で致命的に汚れてしまった。
     父の本棚を整理していると、宗教や心理学、あるいは思想やジャズに関する本以外に哲学書や小説なども出てきた。サルトル数冊にハイデガーの『存在と時間』、コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』続編も含め、また大江健三郎の『性的人間』『われらの時代』(性的存在としての人間にかなり関心があったみたいだ)など。
     知る限り父は全く小説を読まないから、これには少しばかり驚きを持った。しかしいま考えてみると、上に挙げたものにしろ『海を見ていたジョニー』やら五木寛之他著書にしても、やはり時代的な思想を作家がどのように解釈し、受け入れ、咀嚼したのちに彼らなりの言葉で如何に表現するかを自ら強く問うている作品が多い。

     晩飯は水菜と牛肉の叩きサラダであった。あれは今や私の好物の一つである。これまで短期間に人の食に対する好みが変化し、また形成されるところを経験すると、それにしたって不思議なものだと我ながら感心してしまう。
     今日はこれくらいにしておこうかと思う。時間も遅いので吉本隆明の『マス・イメージ論』を読んで寝る。ついでに村上春樹の『うずまき猫のみつけかた』も少しめくっておきたい。
     吉本の本は久しぶりに読み応えのある本だ。表現も思想家にしては面白く――詩人でもあるから、かもしれないが――やはり、相当に難しい。こういった本を読んでいると、クラスメートとの唯一の違いのようなものを感じられて、恥ずかしい話だが有体に言えば少々(実はかなり)悪くない気分なのだ。まあいいさ、誰だって優越感を得るために必死だ。それが人に見える形かそうでないか、やはり確かに些細な違いでしかない。
     また人によってはあまり多数に価値をしっかりと認められていない優越の対象を、自尊心を高め、または自慢をするほどに価値のないものとして馬鹿にすることがある。
     ある人は他人が口の端に乗せ、目の前に提示する対象を精査しつつも、その中で他人に対して羞恥心なく示せる対象とはどれとどれであるといった具合に、リストを作り出してしまうのだ。結局彼らは、いじましくも各々だったり自身が抱え込む対象の出自の確かさ(?)を見極め処断する、陰性の優越感を得るのであった。
     もう書くことが無いわけではないが、まとまりが悪くなってきたのでそろそろ筆をおくことにする。明日は、晴れていればなんとか元気にやっていけそうなので……晴れて下さい。




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