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    タイ旅行、後日まとめ記【全6月30日分】





    【2000年6月30日】に記したメモから
    〔1〕/〔4〕(1396字 追記〈2〉を除く)
     ご無沙汰でした!! 現在マレーシアの地方都市、マラッカという土地にいます。ここ2~3日間の記憶を回想していき筆を進めていくことにしましょうか。
     この日記が少なくとも私にとって有意義なものであり、いずれ人生の絶望の淵をさまようことになろうとも、その淵から引き上げる蜘蛛の糸にならんことを期待します。

     さて、ハジャイからペナン行きのバスの予約をしついに乗り込むこととあいなりますれども、それは果たしてミニバスとは名ばかり、あきらかに大人七、八人程度乗るのがせいぜいのワゴン車に押し込まれる予想外の展開。
     私のこの身体からして決してスペースは広くはなく、なにしろ運転手を除いても貧乏バックパッカー二人を合わせて十人近くが乗り合わせる車内は、元々が非常に狭苦しいものでしたからなおさら、さすがにこれはとうんざりさせられましたが。
     まあ、そうこうと戸惑い逡巡しているうちに、運転手と思[オボ]しき人が前方にある小さな広場からいよいよこちらに向かってくるのです。
     彼がチケットを見せろと言ってきましたので、それに従い手渡すと引換に薄っぺらい名刺サイズの紙を目の前に出しこれを持っていろとだけ簡単に告げ、足早に車のほうへ近づいて行ったのです。直前になってからどうやら車内の点検を始めたようでした。

     すわ出発ということでいよいよ、車はまさにすし詰め状態で押し合いへし合い(ちょっと言い過ぎでした)しながら乗り込まなければならなかったのですが、とりあえずそれはそれとして、記憶を辿りながら座席順で簡単に乗客の記述していきます。
     
     男性の運転手は五十代に差し掛かった感じでしょう。働き盛りといった雰囲気が身体から滲みやや腹は出ていましたが、職業人として長年を過ごしてきた者の粘り強い力が遺憾なく太ましい腕や盛り上がった肩に乗る、頑健そのものの体。豊富で黒々とした頭髪は綺麗に七三分けに撫で付け、濃い目のサングラスをかけてはいるのは長時間の日照刺激を和らげるためでしょうか、隙間から覗く、そこだけ周囲に比べ白んでいる目元にある深い数本のシワからは、意外に人好きのする表情が伝わってきました。
     ところで、今回利用した乗り合いバスの業者は民間っぽいなとなんとなく雰囲気から思っていました。その場合は特にこのような仕事をしている人間は程度の違いこそあっても、営業の許可に地域の反社会的な勢力との断り切れない関わりがあり、この運転手も売り上げの一部を収めて働かせてもらっているのかななどと、勝手な想像をたくましくさせていたのでした。まず最初に目にした遠目からの印象として認めてしまっただけなのですが。
     少なくとも近くからしばらく客との接し方を見ていれば、愛想は決して良くもないが細々[コマゴマ]と客の世話を焼いていて、仕事に関してはそれなりに律儀さをもって務めているようでした。
     私の住む地元の商店街でぼちぼちと商売を営んでいる、接客は主に奥さんに任せ一歩奥まった場所で大体黙々と作業でもしているか、暇な時間帯には町内会の寄り合いにぶらりと顔を出してでもいそうな、二代三代目あたりの商店の主人と似た感じのタイプなんだろうと思えてきたのです。
     
    追記〈1〉 2013・10・05 実際に調べていませんし、名称も覚えていないので手がかりも一切持ち合わせませんが、普通は公営のターミナルで業者が利用料を払っていると考えるのが妥当ではあります。 (追記〈1〉了)

    追記〈2〉 2015・06・18 とある方のブログでは、ハジャイからペナン島までのミニバスを利用した際、一部の業者からかなりの料金をふっかけられそうになったという内容の記述がありました。
     移動費に限らず諸々の料金の相場を把握しておくのも勿論重要ですが、それでも場合によってはいちいち場当たり的な交渉をしなければならないときはあります。そういったことに不安を感じられる方は、事前に調べられるものは調べておき、信用出来そうな旅行会社へ連絡をとるなりしておくほうが安心は安心ですね。


    〔2〕/〔4〕(1451字)
     さて乗客を順に紹介します。まず2列目左端は小柄な中華系のお年寄り女性。
     彼女が伸ばした手は斜め前運転席の肩口へ置かれ、始終革の表面を小さく撫でたり何かの調子でも合わせるみたいにポンポンと軽く叩いたりしていたのでした。運転手は、彼女が次々と振る話の大方には曖昧に頷いたり短く応えるだけでしたが、別に煩がったり適当にあしらうふうではなく、時々はちらと肩越しで自分から話しかけたりもするようなのですね。現地の人かは分かりませんが「旅行者」特有の背筋の伸びた(または張った)雰囲気はなく、利用しなれている感じはあります。
     ひとつ右隣りの、ヘッドレストに頭を預け眠っているであろう初老男性もやはり中華系の人かなと思い覗きこむと、まず色白な顔の細長い輪郭に薄いオレンジがかった金髪が撫でつけられているのが目に入りました。こざっぱりながらも悪くない身なり、そして彼が西洋人だったことで正直に言って二重に私は驚いたのでした。乗り合いバスは快適とは対極にあり、年齢も年齢なので少しでも懐に余裕があるなら……まあ事情があろうとなかろうと余計なお世話ですね。
     ところで、一旦その場へ馴染みきった初老の西洋人男性を認めてしまうと、変な、ではなく自然な思いが沸き起こってきたのです。
     つまり、よく見ればというと失礼かもしれませんけれど、後姿は隣の女性と同じく小柄で背中も丸くなり、席を近くにする二人の感じは端から真逆のように見えつつもなんとなくしっくりする、まるで夫婦みたいだからなのです。もちろん彼らは本当にそうであるかもしれませんが、当然に知りようがありません。

     何故にそう考えたかと言いますと、一番右に座っている女性は一般的な大陸系よりもいくらか骨格のしっかりした肩や顔をしていて、特に横顔からの鼻や顎の印象で二人の娘ではないかと思ったからでした。外見諸々からハーフではないかとの勝手な想像。たまに、老夫婦らしき男女に笑顔を向け短い会話を交わすときなどは、随分と気兼ねのしない態度だったのです。
     娘かとも思わせた女性はよく見るとまだ若く、20代後半から30代に差し掛かるかといったところで、年齢的には娘だとすればちょっと若いということになりますが。
     その女性はなかなか特徴的なところのある美人なのでした。少しきつい印象のする目は若干釣り上がっても見えましたが、意志の強さを示す如くぴたりと真一文字に閉じられている口元に、何とも言えない魅力を私は感じました。
     女性本来が持つ強さの現れかもしれません(何を言っているんでしょうか?)。

     後ろの座席に移り左から順に今回の旅の相方、私の真正面へ位置しますので覗き込まなければよく分かりませんが、おそらく寝ているのでしょう。奴は枕を選びませんから。右隣りはかなり体格の良い女性ですね。多分マレー系の人でしょうか。一番右もやはりマレー系の人にも見えていましたが違っていたかもしれません。
     その男性は車内では終始腕を組み、両方の手のひらで自分の腕をこすっていました。藍色の半袖ボタンシャツに薄そうな生地の七分丈くらいのズボンと露出の多い服でしたので、車のエアコンが効き過ぎていた中ではさぞ寒かったでしょう。今現在ファンが快適な温度に設定された部屋でこれを書きながらつくづく思い出されます。

     最後に4列目の最後部の座席について。一番左の窓際は私です。これは運が良かったかもしれませんね。自分の体格では両側に人がいる状態では窮屈な体勢で隣人に気を使わなければならず、その時のように異国の地で初対面の人間同士が車内に乗り合わせる環境では、さらに身の縮ませんばかりの気分だったことでしょうから。


    〔3〕/〔4〕(1790字)
     ところでエアコンの脅威に晒されているのはみんな同じでした。今走っている場所が熱帯の国だとは車内からでは全く感じられないくらい、この体は熱病にうなされる患者さながらに震え、かすかに窓に伝わる外気の暖かさを頼りにそちらに出来るだけ凭れ掛かっていたのです。次に一つ右側、つまり最後部座席の真ん中に座る乗客は私以上に肥えた女性とあいなります。
     バス旅行(!)中に最も肌を多く接触させるわけで、それが好みのタイプとまではいかなくとも……。いやいや、容姿のことはともかくとして、車中に占める彼女の面積が他乗客一人あたりの平均を超えていることで、車体が左右に揺れるたび、汗が引いたとはいえべたついたお互いの腕を幾度も引っ付け、相手の様子を窺った上で恐縮しいの引っ込めなければならないのがなんと最早なのです。
     しかし隣りの女性には劣るとはいっても、こちらも決してスマートな体型をしているわけではありません。自分がそのように思われる次の役割交代が無いとは言い切れないと考えるならば、早々簡単に件の女性を非難する行為は自らの首を絞めることにもなりかねないと、無理やり納得させたのです。
     バスも出発して数十分が過ぎたあたりには同乗者への観察も一旦終わり、身体を縮こめ外の風景を見るともなしに眺めていました。ですが、しばらくしてまたカーブへ差し掛かった際、その勢いで身体が一方へ寄せられ腕同士がべたりとくっついてしまったのです。ミニバスの狭さにうんざりしつつも隣の女性へ余計な他意の与えない感じに(やり方によっては失礼に当たるかもしれないので)そっと離しました。

     一人忘れてました。一番最後の紹介になりましたが、後部席右端の乗客はこれまたマレー系の若い女性です。この地方の人がまず表面に育てる明るさは確かにありながら、しかし同時に私が想像し期待をしもする、また漠然と知る独特の甘く憂いた雰囲気、それらがない交ぜになったもの。車内照明の加減で青黒い女性のその肌へゆるやかに纏っているのでした。
     右側(彼女にとっては左側)の豊満な女性とは終始にこやかと話す一方、ほかの人物の会話にも興味ありげな顔を向け時々はやや早口気味で話へ参加したりもするのでした。また次々に通り過ぎる窓からの風景が如何にも物珍しいと言いたげに、新しい刺激に対し反応が良いというか良過ぎるくらいでして、何かが耳に目に入るたびやたら気を取られてみたりもするのですね。まるで小さな子供であるかの落ち着かなさで絶えず視線を方々へやり眺めているのです。
     そういった点からも少しばかり年齢不詳系の彼女。豊満な女性とは親子なのだろうかと思ってみたりもしましたが、やはり傍から見ているだけでは分かりません。
     
     以上の人々と小さなミニバスに乗り込みマレーシアの国境へと、そしてその先のまだ見ぬ異国の地へ様々な気分やら目的やらを乗せては、エアコンをガンガンと効かせながら疾走していくのでした。
     途中イミグレーションで止まり、少額のタイバーツを運転手に渡し我々もすぐに同乗者に続いてバスを降り入国管理所へ。管理事務所の窓越しに職員が審査用の紙、さらにもう一枚何かの紙を渡してきたのです。数秒遅れて到着した相方は私が受け取ったことだけ一旦確認すると、碌にそれに手をつけようともせずに遠目で眺めているだけでした。
     結局馴れた手つきで入国手続きを済ませた同乗者は先にバスに戻り、やっと手をつけ始めた私たちは彼らをだいぶ待たせてしまい、辞書をバックパックの底から何とか引っ張り出し、書類に示されている項目を一言ずつ調べて穴を埋めていったのです。相乗りの乗客に申し訳ないような、何よりも彼に腹立たしい気持ちでしたが、そんなことを言っていられる状況ではありません。
     当てをつけて辞書を引いても理解出来ない箇所がいくつかあり、記入出来ずに悩んでいると彼は横から顔を出しガムを噛み平然とした顔で、「別に気にしないで出してみよう」と言い放ったのです(こう書くといかにも私が悪感情を抱いている風に聞こえますが、確かに事実こういうことがありました。例の炎天下での迷子も多少しこりとして残っていたとは認めないわけにはいきませんけど)。
     その態度にはかなり不満があって、同時に待っている人たちのことを考えると、いえ、本当は彼らに対してよりもバスが行ってしまうのではないか、実はそれが一番心配だった自分のことは棚上げにして……。


    〔4〕/〔4〕(2080字)
     相方は無神経で言ってみれば動物的な直感のようなものに従って動いているわりに、却って功を奏するときが多くその度に閉口させられるのですね。
     この文章を彼が見ればもちろん否定するでしょう。私とはだいぶ視点や感覚の異なる――場合によってはありえない、いささか常識に反する気さえしていた――、言動や物の見方をこの旅記でうまく描けていないことは、現実に1日中接している自身が一番分かっています。それを伝えるにこの筆は拙いのだと常に感じている以上、他の人の賛同が得られなくとも仕方のないことなのかもしれません。

     私は自分自身についてこう考えています。非常に薄情で残酷なところがあって、というのも結局はプライドだけやたら高いわりに身が伴わないので他を遠ざけ、自己中心的になっているからなのだと。
     それらが時として大体悪いように影響し、人よりいくらか多感(臆病、の間違い)なあまりに自らの考えや行動について否認のあいだで揺れるのです。まるで無数の針の山の上を転がる風船、ではないかと思いました。風船に水が入っていなければ割れることはありません。その水は今回の場合、彼のいい加減さに対する感情であり、同時に結果として見れば要領が悪かった、上手くやれなかったのは私のほうだったという心を重く々々させる屈辱感、疲労感もなのです。
     いつでも風船の口は開いているようでして、許容量は常に少ないのです。ところが自分の感情をごまかしてそのことを考えまいとしても、穴から全ての水が抜けて過去から溜まってきた感情が無くなるというわけではないのが困りものなのです。あるいは、本当に面倒なのはいつまでも入れ替わらない古水が作り出す、水垢か澱のような記憶なのかもしれません。
     随分とケチ臭いながらも少しばかり病的な感覚を持ってしまっているのではと、常日頃無闇にも患うのですね。実に漠然としていますが、異常なのは彼でなくて私のほうなのではないかというふうに。

     彼は少しわがままで、見栄張りで自分に正直なわけです。頭ではある程度分かっているつもりで書いてはいても、所詮はどこまで行っても私が知っている姿であり、近くで目にしていない部分も含めた全てを理解出来ているわけでは、もちろんないのです。今まで書かれたいわば彼への理解に表現の適切さの問題がないとはいえませんが、全て実際に起こったことであり嘘はありません。
     ただ嘘ではなくとも、彼の態度に対して受け入れられないとの感覚を抱くことが決して少なくはなく、そうなってくるとむしろ自分のほうの問題なのではないかと逆転した捉え方をしてしまうのです。当然の反応として生まれたはずの感情は大袈裟で釣り合いの取れない、実は本来必要なかったものを過剰に作り出し、こねくり回しているだけなのではないかといった疑念に目を向けざるを得ないのです。

    追記〈3〉2013・10・08 再度件の場面を振り返り、自分自身についてこう考えさせられました。私は実際他の中身などない、薄弱さのみで出来たその塊みたいな人間なのです。
     どうにかこうにか勘違いした末で作り出した自らへも見え透いて寒々しい克己心まがいやら、人へ押し付けしない自信のなさをあえて正しさや慎みとでもすり替えて理解させておく道徳感情などに支配されているのです。私は自身のみが配役された安芝居を演じる側の立場にいて、人生や友人の前で表面的に演じているのです。本性は徹底して底が浅く、基本が欺瞞に満ちているのだと。 追記〈3〉了


     正直、彼を殴ってやりたいと思ったこともありました。しかしそれでは自分の気が晴れないのです。瞬間の怒りや不満の感情には一つの休息を与えることになるかもしれませんが、行動によって一時的に感情を表に出すことにはなったとしても、同時に原因となるものを棚上げにすることでしかなく同じようなことがやがて繰り返されるでしょう。
     何より、向こうがこちらの感覚を理解していなければ根本的な解決にはならず、それがないから私は彼とのあいだに齟齬を感じるのですから。
     ただ確かに大切な友人であり、私をこの旅行の相手として選んだことについては事実嬉しくあるのです。
     旅の地での新たな喜びなどに遭遇するたび、そのことが相方の助力や存在あったればこそと感謝することも、ごく自然な感情として沸き起こるのでした。また今回の旅を受け入れたのも相手が彼だったからで、他の友人からの誘いだったらどうだったかはなんとも言えません。少なくとも、今までに異国の地においても互いに心から笑いあっていた数多い瞬間を忘れてはいませんし。
     分かりあえない部分が例え小さくない違和感として在り続けたとしようと、これは現実的な問題としてやや情けなくもありますが、英語も碌に喋れず異国の地に一人放り出されるなぞは、私にとっては心細いという程度の不安では到底言い表せない、非常に恐ろしいことでした。
     結局、遅かれ早かれ別れを選択する以外に道はないのではないか、特に当時いずれ避けられぬ瞬間について考える際、胸にある空洞を一陣の風が吹き通るように悲しくも多少虚しくさせられたのでした。




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