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    夢見集【18】~【22】『暇人にも1日は彩り多き』『暗躍する勢力とビッグブラザーの帰還』『夢よ醒めること勿れ』『兄帰る』『人口生命は猫を怖がる~彼らを見捨ててはおけない』





    【18】『暇人にも1日は彩り多き』(1546字)
    〔1〕/〔1〕
     腰の曲がった婆さんを歩道橋のスロープで見つけ、自分の散歩ついでに道案内して誘導する。向こうはそのまま大きな道路を越えどこかへ行くのだろう。こちらに振り返り丁寧にも会釈を繰り返す。気持よく返事をしたいとの意味も含め、私も少し大げさなくらいに手を何度も振った。

     巨大SCのようなところの一角に入るとauショップとドコモショップがあり、横目で見ながら通り過ぎるが先は行き止まりとなっていた。
     引き返すとショップの店員に笑われていることが分かった。女性はタイトなベージュスカート、襟に小さなひだひだのあるシルクの白ブラウス、男は質の良さそうなYシャツにライトグレーの細身のスラックスで体型も細身ながら、いかにも週三はジムへ通っている感じの程よい鍛え具合。デパートで購入したそこそこの値段がする舶来品だろう、小洒落て洗練された感じだ。一方こちらは薄汚れた白のツナギを着ている。
     私は段々と腹が立ってきていて、モップを振り上げると剣道の面よろしく思いっきり振りかぶった。激しく怒りを込めながら。モップの柄の部分に少し亀裂が入る。

     いつの間にか学校の校庭、隅の方へ行くと平面式の交差点があり、そこを六十代半ばくらい、中背で年齢の割に骨も太く肉付きはしっかりと、白髪頭をした初老の男性が通りすぎようとしていた。ボサボサの髪に銀縁眼鏡をかけ、白いチノパンに緑のポロシャツといった風貌、自然にゆったり閉じられた口元と真っ直ぐな視線からリラックスして歩いていることが窺える。
     遠くにいた若い二人連れの男が彼に対しおちょくるように声をかけると、白線の途中であった彼は唐突に足を止め顔をいくらか赤く変化させ、全身に力を込め腹を胴囲2メートルくらいまで異様に膨らませた。その姿は非常に滑稽なものであったにしろ、彼は『どうだ』と言わんばかりにしてやったりのどや顔。一種の挑発、あるいは威嚇行動としても自信あり気であるのだ。
     急に息み過ぎたせいか、歯を四本ほど口内から弾き飛ばし歩道部分に散らばらせるが、そのことを本人は気にもしていない。仕方がない拾ってやろうと手に持ったところ、かなりぬるっとして不快なものだった。やめとけば良かったかと思ったりもしつつ、結局残りの二本の歯も探すしかないかと地面に目をやると、どこからか若い女が駆けつけてきてしゃがみ込み一緒に探すことになった。
     なんの躊躇もせず汚れた歯を手づかみに、私のものと合わせて老人の手に渡す。彼は前歯の抜けたいくらか間の抜けた表情で、それでいて憎らしくなるくらいの満面の笑みを浮かべ去って行った。
     女が走ってきた時に落としたものや、何より眼の前に立つ姿を見て看護婦だと分かった。白衣にナースキャップ、支給品の黒いカーディガン、そこまで美人というわけではなかったが、年齢相応に少女の面影を残した可愛げもありながら、同時に人の生死に向きあう人間特有の控えられた覚悟の顔つきが窺え、キャップにピンでまとめられたショートの黒髪は清潔感もあり、覗ける表情からは自信と誇りがかいま見える。

     やはり看護婦は違うなと感心も一頻りするとほぼ同時、そう言えば汚れが気にならなかったか、ふと思った旨を尋ねると慣れているから平気だという。「でも、男性のパンツを洗濯する時と、さっきの男性の歯が似た臭いがするのは何故かしら?」と質問を返される。
     まあ似たようなものだからと濁すが、詳しくは教えない。怪訝に感じた女が自分は別に気にしないから教えてくれと、こちらの顔を真っ直ぐ見据えて迫る。どちらも垢だからというのがその時考えていたことだった。しかし時間の経った恥垢の臭いは強烈でも、ある程度新しい歯垢はそこまでは臭くないことを、後になって思い違いだったと気がついた。


    【19】『暗躍する勢力とビッグブラザーの帰還』(663字)
    〔1〕/〔1〕

     電話からおかしなアナウンスがして使えない。母に相談してみたがやはりそうだったという。「デジタル電話は回線買取方式だから、旧い電話は使えなくなるとか」と父が落ち着いた口調で説明する。
     元総理K議員が電話をかけ、故障した際強制的に繋がる回線のオペレーターと話をしているが埒が明かないのだとか。さらに彼が近所に頼んで合計十数件の電話からかけたところ、ほとんど専用オペレーター以外には繋がらないようだ。いつの間にかその頭は随分と白髪が増えているように見えた。それでも何件かはまともに外線を使える電話があるとのこと。I議員も別の場所で同じことをしている。

     故人であるはずの某政治家が入院先で無事手術を終え、そこを後にする場面。正面玄関から出てきた彼は少し空を仰ぎ見て、一瞬目を細める。入口付近で立ち止まる姿をこちらは植え込みの隙間から覗き見ている視線だった。
     病院スタッフがずらっと並んで退院を見送るつもりか、全く大袈裟に見せないほど真摯に心からの一糸乱れぬ最敬礼をしている。
     しかしその服装を見ると白衣や事務職員用の地味な制服ではなく、襟の大きなクリーム色のブレザーで縁の部分は黒く厚いビロードの生地で装飾され、両胸を肩口から胴まで横幅十五センチ程度に金糸で蔓草模様が薄く刺繍されている。まるで、東京あたりにでもありそうな高級ホテルで採用されていても不自然でない、瀟洒なデザインだ。
     彼の髪の毛は年齢にしては真っ黒でものすごい量があり、偽物ではないかと思えるほどだったが、質感や生え際、風になびく様子を見ているとどうやら本物のようだ。


    【20】『夢よ醒めること勿れ』(1701字)
    〔1〕/〔1〕
     麻雀をやる。N上、W森、K尾とくればまさに往年のメンツである。しかも俺の家ときた。先にW森とK尾に声をかけてOKをもらう。しばらくしてN上に聞いてみるが大丈夫だという。
     最初に声をかけた二人と自室で一緒に待っている。K尾が何やらぶーたれているようだ。もう一人がなかなか来ない。「本当に来るのか」、「いつ来るのか」と焦れてきているのかやたらせっつく。何度となしにしつこく念を押され、段々と自信がなくなるが、「大丈夫だって」と不安を打ち消すつもりで返事をする。
     俺は期待のあまりに文句を垂れる男に対し、「始まるのが遅くなるかもしれないからちょっと寝とけ」と告げその口をしばらく静かにさせておければと思っていたのだった。しかし言うことを聞かずに起きて待っているという。……起きているならそれでいいけど、文句言うなよ。

     やっとお待ちかねのN上が到着する。今日は麻雀が出来ないんじゃないかと、皆が途方に暮れかけていた頃だった。
     ところで牌やマットはあるのだろうか、ちょっと心配になる。以前の自分の部屋を調べてみようかとさっそく出た廊下で母に会い、「〇〇の雀牌が部屋のどこかにあるんじゃない?」と教えられる。そんなものいつ手に入れたのかと不思議に思いつつ、本当に部屋で見つかったら恥ずかしいことになると感じるも、とりあえずは探す。
     俺はN上に手伝ってもらい部屋中の引き出しを調べ始める。パソコン用の新品のキーボードが出てきて、これは今度使おうなど余計な考えが頭をよぎるが、それよりも肝心のものを求めてさらに奥、上下、隣のタンスに押入れの中と手を突っ込み顔を覗きこませるが一向に見つからないのだった。

     彼がどこからか牌とマット両方を見つける。勝負が始まる。ちなみに某アイドル〇〇の写真が背面にプリントされた牌ではない。こっちが見つかって良かったと胸を少し撫で下ろす。かつての部屋ではなく現在の自室でやることにする。以前の自宅麻雀のようにTVをつけることにとりあえずなり、NHK以外でもまあいいかと適当にチャンネルを合わせるのだった。
     卓の前に四人が集まった状態で、どれくらいの時間やれるのかという話になる。一時間近く前に、また雀牌やマットをこれから探さなければならない状態である不用意を告げた時も、K尾が「やれる時間が短くなる」と文句を垂れていたからだったが、まず俺は「いつまででもやれる」と力強く答えた。
     W森は段々と興奮した赤い顔になってきていて「実は俺もかなり大丈夫だ」、N上も「午前四時くらいまで平気だ」と次々と高らかに宣言した。現在の時間はまだ昼前だったので16時間近くやれる計算になる。話の端緒となった心配性の男も次の日の朝まで大丈夫だということで、結局のところ全員徹マン無問題[モーマンタイ]野郎だったのだ。この、雀狼どもが!!
     皆で互いに紅潮した顔を見合わせ、今や遅し、滅法昂った興奮のうねりを牌に思い切り叩き込んでやらんかと、その意気込み十分過ぎるくらいに過ぎる。円陣を組んだ四人の男はまさに叫びだしそうな勢いだった。
     
     ついに熱い勝負が始まろうとしていた。牌の見た目は少し違うが細かいことはどうでもいい、麻雀が出来ればそれでいいんだ。
     俺が、東一局十二三巡目にリーチ一発ヅモをする。和了る寸前までは「まあ、平和(へいわ)にいこうぜ、平和(へいわ)が一番だよ」といった例のブラフを互いに打ちかましていたのだった。

    夢を振り返って:某アイドル〇〇のことは好きではない。多分前日にTVで久しぶりに見たから頭に残っていたのだろう
    ちなみに、平和(へいわ)=平和(ピンフ)とは麻雀の一番安い上がり手で、「まあ、平和(へいわ)にいこうぜ、平和(へいわ)が一番だよ」は大抵スタート直後から誰かがリーチを掛ける寸前までに皆が口癖のように言う軽口の一つだ
    つまり、あまり高い手を狙うなよ気楽に行こうぜと、互いの示し合わせを求めてのもの。特に平場状態の東場では繰り返される掛け合いなのだ。もちろん、誰もそんなことをまともに相手にしないが


    【21】『兄帰る』(1150字)
    〔1〕/〔1〕
     兄が実家に帰ってきた。すでにこちらで仕事を見つけたようだった。私とは大違いの行動力だなとしきりに感心する。
     母は兄と色々と話しをしていたが、それが済むと妹に今度は突然怒り始めた。ものすごい剣幕で随分ヒステリックな感じに眉を顰めながらのもので、自分にもしもそれがと想像して身を震わせ、火の粉が散ってこないようにと願った。

     家の前の道、正面十数メートル向かいに母がいることが分かる。手には携帯電話の料金明細書が二通握られている。それをこちらに渡すつもりらしいがなぜか封が切られた状態になっていたのだった。勘弁してくれ早く渡してくれないかといくらかヤキモキしていると、用紙を持っている手元からはみ出した部分に料金の詳細が印刷されているのが目に入ってきて、やや遠目から確認すると16000円となっていた。信じられない、普段の五倍以上の料金じゃないか……?
     先月先々月と支払いを忘れてしまったのか、いやそれにしても高すぎる。
     いつまでもあちらの手の内にあっては、ふと何の気なしにでも見られてしまい金額がバレることになると非常にまずい。不審に思われないよう軽い調子で貰っていいかなと声を掛けつつも、母の手から勢いその紙をもぎ取る。ついでにもう一枚の明細を見せてもらえば、果たして3000円という適正価格だった。
     一体どうなっているんだろうとよく調べてみるに、単なる見間違いで実は1600円と表記されていた。私はああ良かったなどと安堵し、そういえば携帯電話の料金の請求の仕方が変わるんだってね云々、少しばかりわざとらしい世話話を振る。

     帰ってきた兄は早速仕事に向かうそうだ。普段は無愛想で共通する話題もなくほとんど話をすることはせず、何を思ったか今回は母に向かって出発の挨拶をした後こちらにも同様のものをしてきたのだった。少し面食らったがあまり間を開けずに、何の含むところもなく返事をする。
     私は自室の扉を隔てて兄に言葉を返したのだったが、扉の形状は、というかその姿は現実世界の押入れのドアと全く同じだったのだ。それの開け閉めの際には簡単な木製の留め具を鍵の代わりにしていたので、これでは戸締りとしての機能は果たせないなと、兄に向かって声をかけている時についでにいじり回しながら考えていた。

    夢を振り返って:押入れの位置まで現実の部屋と配置は一緒で、つまり内部の作りはリアルなくせに、押し入れを開けると廊下に通じていることは違和感なく受け入れているのだ
    夢とはそんなものだが、となってくると普段現実の部屋に存在し、実際に使っている方の出入口である扉はどうなっていたのだろうか。夢の中では確認しなかったので分からないままだ


    【22】『人工生命は猫を怖がる~彼らを見捨ててはおけない』(708字)
    〔1〕/〔1〕
     息苦しくなるほど狭く暗い道を走っている。下水道のようなイメージ。誰かが追いかけてきている時の差し迫った雰囲気だった。
     そいつはこちらに悠々と追いついたことを示すためか、最前まで後ろにいたはずが進行方向の暗闇からぬっと姿を表し、黄土色をした宝石のような六角形の目でじっと正面の私達を見据える。灰色の作業服を着ている男で、近づいてくると口を大きく開き茶色い液体を吐きかけてくるのだった。
     彼らは人工生命だ。不完全な身体に錯乱した凶暴な思考、彼らは狂った人形。奥の暗がりから目が光ったかとみると黒猫が姿を現す。人工生命は猫を怖がり、一歩二歩と退く。黒く小さな獣はくるっと振り返りそのまま、闇に飛び込んで消えてしまう。今の隙に横を通り抜けて逃げることにする。

     エレベーターに四人載っている。誰と同乗しているのかは分からない。途中でドアが開くと、ここで降りると言い出す奴がいるので仕方なしに許可する。私ともう一人を載せたエレベーターは上昇する。
     最高地点まで登ってしまったことに気づいてドアを開けようとするが、どれほど力を込めても開かない。そうこうしているうちに、途中で降りた二人は中学生の男子だったと突然胸に浮かび上がる。と、彼らもどこかに取り残されているに違いない、助けに行かなければいけないと妙な切迫感とともに思い立つのだった。
     自分たちが乗り込んでいる小さな金属製の箱は、周囲の暗闇の中でワイヤーに釣られること無く空間を上下していた。しばらくすると下方、灰色をしたひとつ五十センチ四方のブロックが四つほどくっつき虚空に浮かんでいる小さな島で、毬栗頭の中学生二人が心細そうにしている姿が目についた。



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