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    エッセイ(物語構成)【8】ARAMAKI~1

    ~2002年あたりを振り返り~

    (1978字)
     大学に行かず就職せず、私は日々をそれとなく過ごしていた。時々日雇いのアルバイトで働いては数万円の収入を得て、働いた日数の数倍近い時間を少ない蓄えを節約しながら使うことによって無駄に費やした。
     なんというかそう、もうすぐ二十三歳になってしまう。その歳はあくまでも私の中でしかない感覚ではあったが、かなりやばい年齢の一つだった。大学を順調に卒業した友人が次々に就職を果たし、気づけばあっという間の一年が経つ。
     それならば、現在の自分が最後の数週間を名残惜しそうに引きとめようとしている(せめて時間よゆっくり進めと)、二十二歳のほうが切羽詰まった気分にならないかとか、二十一歳のほうがさらに、いや、大学に行かなかったのならば十八十九ですでに進学した人間が当分棚上げにし、彼らが得ることの出来ないものを積極的に求めていこうとしなければ四年後に一気に逆襲を受けるだろう、などなど。

     それは非常に強力でこちらの一歩に対して常に二歩で迫る(または差を広める)。こちらの一つ目の準備としては、かなり消極的でクソみたいな考え方がある。例えば彼らが、場合によっては三流四流の大学に入学しただけで満足し、学校での複数年を無駄に過ごして気づいた時には何も社会に出ていく際に役に立つ能力を身に着けていなかったという、そんな人間が一人でも多く最高学府から排出されればいいと密かに願う、後ろ暗い祈り。
     もう一つは心頭滅却、滅私奉公といった具合に下働き同然の数年であったとしてもひたすらコツコツと経験を積み――最終的には大卒に生涯年収を抜かれるのだとしても――、それなりに安定した立場を築こうとするやり方だ。経年の末にしか積み重ねられない歴然とした技術の取得を目指し経験知を求める、前向きで建設的な考え方といったところか。
     私はどちらも望んだり目指したりもせず、ただ日々を喰い潰していた。

     とはいっても、一年に一回づつ年齢を重ねていくことはこの地上に生きている限り避けられない。日めくりカレンダーの薄く儚い紙の重みをもって、一日一日は非常に軽く、ほとんど何の意味もなく切り取られ引っペがされる。ただ、その虫の死骸のごとき重さが一年をかけて、じわりと知らず知らずに積もり続ける。
     就職を先延ばしにするためもあったが、以前就いた仕事の失敗から数少なくも学んだ事実として、どうやら年齢的にも高校卒業後ホヤホヤの十八歳の若者と肩を並べるような仕事は不利だろうと――つまりそういった職種は私には向いていないのではと――感じ、入学試験の必要ない専門学校に進学することにしたのだ。
     専門学校を卒業すれば短大の準学士と同等の資格が得られるらしく、自らが望めば大学三年次編入も出来るし公的な資格の受験資格もいくつか得られるはずという算段。まあ、どちらにしろ場合によっては在学中に自分にあった仕事が見つかれば、それはそれでいいではないかとも。

     いくつか候補はあり、それまでは就職について少なからず考慮することも念頭に置き、会計などの資格を手にするための勉強が出来る場所にしようかなどと考えていたのだ。が、結局すべりこみでたまたま取り寄せたパンフレットを目にした瞬間に全く別ジャンルの学校に決めたのだった。
     私はどうしようもない無能な人間で何の経験も技術もこれまでの生活で身に付けてこなかったし、ちょっとでも仕事へ活かせる趣味の類があれば良いのだが、そんなものは一切持ち合わせていないのだ。大体の問題として、多少固まりつつも同時に複雑な面もある性格、年齢的にもまだまだ難しいところのある彼(彼女)らを同級生としてやっていけるか?
     いやそんな心配をする前に、まず実際の最大の欠陥として私には人に好まれるための基本的な人間的魅力が残念ながらないのだ。
     さらにもうひとつの悩むべき点。仮に再就職を目指すかまたはでなくとも、あまりにまともそうな人間の集まるお堅い感じの学校では、自分は目的意識の希薄さから勉強についていけないのではないか? 周囲から浮き上がってしまい居心地の悪い思いをするのではと、多少考えすぎの感もある不安はあった。
     一方最終的に選んだそこは雑誌の編集やカメラマン、ライター養成のための専門学校だったので、自分の唯一の無為な趣味である読書を活かせる機会があるかもしれないと思ったのだ。集まる人間もいくらかちゃらんぽらんなのではないか、と。胸を張って口に出して言える恥ずかしくない夢(本当はあらゆる意味で恥ずかしがらなければならないことを知らぬ、世間知らず故か)といえば、小説家になるということだけだったから。
     いつか小説家になる、成れる成ってやると心の中でだけは大言壮語を繰り返していたのだ。まるで子供がヒーローになるといった可愛らしい夢と似たり寄ったりの実現度なのかもしれないと、認める現実は避けつつに見つめる、もう一つの現実。




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