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    タイ旅行、後日まとめ記【7月15日分】~19





    (2156字)
     なかなか自分の見知った場所には着かない。途中「NASA」という建物を横目にした。郊外地に突如として現れた看板は周囲の住居や商店からはだいぶ浮いている異質な様子、一体なんの建物だろうか。少し気になったが、すでに日は暮れかけていたので足を止めずに歩き続ける。後でガイドブックを確認したが紛らわしくもディスコとのことだ。ネーミングセンスが微妙である。
     
     道の途中でコリント様式(?)の立派な建物の銀行を見つける。一旦休憩しようと階段に座る。しばらくすると婆さんと少年が寄ってきて金銭をせびって来るのだった。こちらの片言の英語が全く通じず、「I’m Poor」と何度も繰り返したがやはり無駄らしい。見るからに向こうのほうが現実的で恒久的な逼迫状態にあえいでいるようだったし、こちらは相方に乗せられて始めたこととはいえ、すき好んでの貧乏旅行だ。
     100Bを渡すと喜んで何度も礼を言われた。正直に言えば感謝され悪い気はしないという結構な内心でまずいたので、行為の直後から発生した自らを咎める内心こそが一番意味のない、正確には自分のズルさなのだと思う。
     金を受け取った婆さんは、私の目の前で意味不明のジェスチァーをするのだった。どうやら感謝の気持ちを伝えるものだろうかと最初は考えていたが、ところがいつまでもしつこく繰り返しているのでその表情や手元の動作を見ると、どうやらもう少し欲しいとする要求みたいだった。
     どうにも閉口し寸前の罪悪感やらを完全に失い、しかしいまさら文句を言う資格はないのかもと、なんだか付け込まれた側の弱気にもなりつつであった。旅ももう終わりだしこの国の通貨もあまり必要ないかもしれないなどと考え、あくまでも自身の決定であるとしたい最後の抵抗のため改めて少し悩んでみることにする。もちろん日本円に両替も出来るとはいっても、元々10万円分も持ってきていなかったしそれも使い切りそうだったので、帰るまでに全て吐き出すつもりでいたのは以前からまさに思っていたのだ。ただこの老女に金を渡すタイミングが、旅の所持金を使い切る皮切りになっていいのか、どうか。
     実際には迷うほど何かがあるのかはっきりしないまま、まあいいんだと納得する。言葉の通じない相手に目の前で懇願され待ち続けられる圧力に耐え切れず、深く考えることを止めにして二度目の100Bを渡す。ついでにやり取りを始めたあたりから思いついた目的を果たすため、いや今では唯一残された失地回復の交換条件として婆さんに道を尋ねることにした。少しだけ体力の回復した私は、階段から立ち上がりもう一歩きするつもりだった。照明が届いて文字が読める程度に明るい建物の下にまで婆さんを呼びよせ、ガイドブックの該当箇所に指をさすが……。

     やはり、婆さんは目の前の若者が指差している場所が分からないようだ。少しばかり残念な気持がないわけではなかったが、そもそも地図が読めるのかどうかも疑わしい老女なのだ。
     仕方なく歩き出し数十メートル先、ふと後ろからする声が気になり振り返ってみる。婆さんとモトサイ(有料バイクタクシー)の人間がなにやら話しているのが見えるのだった。しばらくその様子を伺っていると婆さんが私を手招きしてきた。近づいて行く最中にも何やらの手振り、30Bで地図の場所まで乗せてくれると教えてくれているのかと思い、少し迷ったのち財布から30Bを出そうとすると、婆さんは50B出せと言っているのか指を五本私の顔の前に広げた。釣りを出すことをこちらに伝えようとしている意図も理解出来た一方で、……ほとんどいやな予感しかしない。
     モトサイのオッサンの胴に手を回し乗っていると、出発して数分でバイクは減速し路肩に向かって行った。やけに早いと思ったらただのデパートだったにも関わらず、彼はそこに降りろと釣りも返さずにそのままどこかへと走って消えてしまったのだ。奴らグルだったのかあるいはこちらの発音でも悪かったのか、しかし確かに「ファランポーン」と旅のあいだ現地の人に何度も通じた発声でもってゆっくり言ったはずなのに。

     腹を立てながらも、仕方なく大きな道路を真っ直ぐ歩いていたところでトゥクトゥクを見つけてそれに乗る。行き先を告げ料金を決めずに猛スピードで走りだす。3~40分は走ってからトゥクトゥクは止まった。
     料金を交渉したら150Bと言ってきたので、高過ぎると80Bにまで値切ってみると運転手はそれじゃ無理だと最初驚いてみせた顔をして、続いて絶対に無理だと意思表示のために顔を大きく左右に振るのだった。100、110Bと少しずつ相手の様子を見ていたが、120Bとする向こうからの返答以降全く折れることなく、ただし相手は強気で交渉してくるというより、次第には懇願するような表情なのだ。
     段々悪いことをしている気分になる。質の悪いスレたバックパッカー気取りになってしまったようで、少し反省した。つまり、現地の人にとって生活の糧である各サービスへこちらから支払う対価であるバーツを、妥当な金額以上に値切れるだけ値切るしか考えない、自分にとってのまるでゲーム感覚に、薄ら寒い痩せ細った楽しみを見出すかのような行為に対し。
     確かにファランポーン駅の目の前、私は例のステーションホテルに2泊することにした。金に関するなんやかんやの日であった。




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