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    タイ旅行、後日まとめ記【7月18日分】~23(了)修正版






    (1907字)
     考えも碌に定まらずふらふらと20分近く歩いていたところで、路肩に停車しているトゥクトゥクを発見した。もつれ気味の脚で小走りに近寄り、早速運転手に声を掛ける。特に自分一人になってからというもの、色々な人間にいいように騙されているが、それでも気温がもっとも高くなる昼時に右も左も分からない異国の街をうろつく気力は、その時の身体にはほとんど残されていなかった。風の通り道が少なく湿度の高い街中では特に、体力は急激に消耗されたのだった。
     騙されるかもしれない、または向こうにそのつもりがなくても相手に目的地を伝えられないのではないか、先程のやり取りを思い出してみれば面倒に巻き込まれる不安も確かに頭の片隅にはあることはある。ただ、トゥクトゥクの後部座席に身を沈め身体を休めている想像は、段々と疲労の溜まっていく一方の状態では抗いがたい誘惑なのだ。
     脚を掛け乗り込もうとしたとき、ちょうど後部座席の真下あたりから水よりも粘度の高い液体が結構なペースで漏れ続け、地面に虹色の水溜りを作っているのが見えたがまあ気にしないことに。久しぶりに開いたガイドブックによれば、ワールド・トレード・センターという建物名のほうが一般的に知られている旨を確認した私は、早速相手に伝えた。どうやら行き先を理解してくれたようだった。100Bから80Bまでの料金の引き下げ交渉に成功する。

    追記〈4〉 2013・10・10 伊勢丹よりワールド・トレード・センターのほうが外国で一般的に有名なのは、当たり前だ。当時の私はそんなことも知らなかった。 (追記〈4〉了)

     車線数の多い幹線道路をそれなりの速度で走っているにも関わらず、一向に停車レーンに移動することもなく似た景色の中を走り続けていた。想像していた以上に目的地は遠いらしい。周囲の様子からしてすでにバンコクの中心部にいると予想していて、おそらくワールド・トレード・センターもその一角にあるだろうと踏んでいたのだった。さっきの肥った男は歩いて行けと言っていたはず。ところがトゥクトゥクに乗ってからもう30分が経っていたのだ。

     宿のベッドの上でこれを綴っている最中にふと考えたが、山手線の東京駅から新宿駅までを横断したらおおよそ何時間がかかるのか。五時間? 八時間? バンコクの市街地が一体どれほどの広さかはっきりとは分からないにせよ、相当の広がりを持った範囲のはずだ。やはり徒歩で行き当たりばったりの探し方をしていたのでは、半日歩いても見つからなかった可能性があったかもしれない。

     車はワールド・トレード・センターに着いた。壮麗な高層ビルが周囲でも一層と際立ち、右隣りでは巨大なショッピングセンターが口を開け客を待ち構えている、非常に立派な建物だった。名前からして外資系の会社や貿易会社などが入居しているのだろうか。そこからさらに伊勢丹を探すことになった。20分近くかかりなんとか案内板から目的の店を見つけ中に入る。店の中は非常に涼しく綺麗である。一度6階まで上り、再度エスカレーター近くに設置されている案内板を見て行き過ぎたことを知った私は、1階分降りた。ようやっと、苦心の末に紀伊国屋を発見したのだ!!
     店内の内装は日本とほとんど同じ作り。清掃が行き届いた涼しい店内で平積みの日本語の本を眺めているとなにやら、そこがタイであるということを忘れてしまうほどになじみ深い感覚なのだ。ぐるりと店内を一周してから適当に本を物色したが、結局棚から新書の『詭弁論理学』と『こち亀』を手に取ってレジに向かうことにした。

     帰りはバスに乗る。カオサン通りのマクドナルドに行き本を読んで時間を潰した。持参した文庫本の筑摩文庫『太宰治全集』十巻と、ガイドブック以外は全くと言っていいほど、ようするに別種類の日本語に触れていなかったので、なんとも新鮮というか妙な気分だった。
     適当に時間を潰すつもりだったのがすっかり遅くなってしまう。そろそろ今日のベッドについて考えなければならなくなり、と言っても今更新たな宿を探す労力を費やしたくなかったのだ。結局、先日と同じマルコポーロに泊ろうと思い、今度は三泊する。合計1050B。嗚呼堕落、相方がここにいたらなんと言われることか?
     一日歩く以外は特に何もしていなかったが、その割にというかゆえに歩き疲れたのだろう。ベッドへ横になって散々の苦労の末なんとなく手に入れた本のページをパラパラとめくっていると、自然と睡魔に襲われていった。この宿で後二度の夜を過ごせば、ついに私の旅も終わりである。(了)

    追記〈5〉2016・1・21 最終日ファランポーン駅前で無事相方と合流し、帰国の途に着いた。(追記〈5〉了)




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