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    エッセイ(物語構成)【11】BONBON!~2(タイトル訂正)






    ※タイトルとカテゴリが一部間違えていたため訂正しました。失礼しました


    (1917字)
     大学生だったN上やI岡とは主に駅近くのチェーン店に行くことが多かった。数カ月ぶりにあった彼らはすっかり大学生のノリを習得していて、しかもどちらかというと新入生を乗せていくための雰囲気作りのやり口や、ちょっとした場の仕切り方まで心得ていたのだ。
     他にもよく参加した友人としてK尾がいる。彼は若いうちから仕事をしていたせいもあり、職場の人間とよく飲み行った(居酒屋以外にキャバクラ、スナックなども結構利用したことがあるとか)という話や、自分がどれくらい大量に飲めるかをさも自慢げに語った。挙句の果てにはひどい泥酔になって道端に寝っ転がって朝を迎えただとか、非常に強烈な酒を飲んで店の床に椅子ごと倒れたなど、周りにとっては甚[ハナハ]だ迷惑だが、本人にとっての武勇伝となっている語りを飽きもせず、それこそ耳にタコが出来るほどに……。
     全員が中学の同級生だったので、昔話に花が咲くところはまあいつものこととして、加えて皆が同じ草野球チームのメンバーであり、同時に私が立ち上げた麻雀サークルの会員でもあった。

     後に述べるような個人経営の居酒屋でばかりとも限らないが、大学生の彼らが参加しない飲みの場合は、ツマミを二品くらいずつ頼んでちびりちびりとやるのが常だった。色々と景気のいい彼らが一緒にいるとまずはテーブルが埋まるくらいに注文してしまい、乾杯のときには全員に二杯ずつの酒が行き渡ることとなる。
     K尾は歳の割にかなりの収入があるので構わないだろうが、週数日しか無いバイトのこちらは常に貧窮に喘いでいたのだ。少しばかり注文する品数を抑えてくれないかなどと思いつつも、そのときのノリや勢い、行き過ぎない限りはとりあえず良好であるはずの状態に水を差すわけにもいかない。結局、幾度か口を開きかけそうになる自らを抑えるところがあろうとも、流れに身を委ねる形で従うことになるのだ。
     彼らは卒業と同時に結構な企業に就職し、毎日遅くまで働いているらしく今では連絡も取りづらく、ただ大学二三年生の時点ですでに色々と忙しいようだったので会う機会は三ヶ月に一回くらいしかなかった。というわけで、こちらも細かいことは気にするべきではないかという具合に、ままよと多少吹っ切れるしかない。
     続いてカラオケを朝まで、店を出る頃には完全に空は明るくなり皆の目の周りは落ち窪[クボ]み、喉が枯れてまともに声を出せないほどに、しかし楽しかった。自分にもあった、若かりし日の不器用で汗臭くもあるがなりふり構わない姿。鈍く時々は周囲に遠慮するよう、それでもいくらか強く輝いていた私、いや、俺たち。

     自宅近くには父親行きつけの飲み屋があった。他にも二件の喫茶店と交互にではあったが、ほぼ毎日通っていたという。大人になるとそんな場所が増えるのだろうかと羨ましくもあったし、やはり自分の知らない世界を親は知っているのだなと、いつもの姿に感心を新たにしつつも少しばかりの寂しさを覚えたものだった。
     子供の頃に、五十手前くらいの少しまぶたの厚ぼったいおばさんがやっている、自宅から歩いて三分くらいの居酒屋に連れて行ってもらい、ラーメンを食べさせてもらったことは憶えている。小さめの丼で出された、特に変わったところのない醤油味のラーメンだった。
     大人になってからは、多くは友人のK尾やR立と一緒に行った。その店では眞露[ジンロ]などをボトルキープして、ウーロンサワーか青リンゴサワーばかりを飲んでいた。他のアルコール類と言えば日本酒かビールしかなかったので、較べればただ単に一番安上がりだったからとあくまでもケチな理由で。店にとっても馴染みの客の息子ということでそれなりに歓迎してくれ、気心の知れた応対をいつもながらにしてくれた。
     経営者らしいおばさんは主に酒を作り、小じんまりした調理場の中では小柄な男性がいつも鍋や包丁を振るっていた。短髪に白髪を生やした、いつも眠そうな目をしている頬のこけたおじさん、いやもうすぐお爺さんと呼ばれてもおかしくないくらいの外見に見えなくもない。彼らは夫婦なのだろうと勝手に思い込んでいたのだったが、さらにまた別のいつかの日、父から聞いた話では確か違うはずだとのことだった。
     他にもたまに三十過ぎくらいの若い夫婦が手伝いに来ていて、そちらの体格のいい若旦那はおばさんの息子だという。どこか身体の悪そうな板前の男性は雇われの身だとか、あの年齢でああいった立場だと大変だろうななどと、他人事とはいえ、小さな冴えない居酒屋で甲斐甲斐しく働いている無口な姿にそこはかとない中年過ぎ男性の悲哀を感じながら、時々はR立と結局はなにも知らないなりに勝手な想像をし、彼のあれこれについて話をしていたことがあった。




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