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    小説メモ(イメージとしての習作)【2】宛先のない手紙~2





    (889字)
     4、5キロ手前の野営地で一晩を明かし、最低限の荷物だけを抱えて力なくうなだれ乾ききった灌木たちの無人の荒野を抜けていきました。
     戦場はひどく荒れていました。足下の砂と細かい石に少し気を取られながらも一歩を踏み出し、再び顔を上げ周囲を見渡したのです。瞬間、目の前で何が起こっているのか理解出来ずにいました。が、しばらくして次第に目が馴染んでくると、そのあまりにも凄惨な光景に今度は思わずめまいを感じてしまい、近くにあった朽ちかけた木の柵へ手をついてしまいました。恥ずかしながら、なにやら膝が勝手に震え止まらなかったことも今でも覚えています。
     ですが額の汗をぬぐい顎をひき唾を飲み正面を向き直りました。決して二度目は俯かず、睨みつけ、いえ……見据えてやったのです。そうです、勇気を取り戻したのです。この身に鞭を与えたものは、自分自身が少年時代の頃のあの勇士に対する憧れと、それだけではなく、立派に恥じない働きをし彼らとともに永遠に天の世界で生きようといった、希望によってなのでした。さらにその足をもう一歩二歩と踏み出しました。
     歩けど進めど死体ばかりでした。泥にまみれ自らの血液に窒息しそうなほどに血を流し、伏せ倒れた兵士。塹壕の縁に上半身を載せそのまま息絶えた兵士。彼らの体は風が吹くたび子供たちが向かい合って座る遊具のように、ゆっくりと行ったり来たりを繰り返していました。酷たらしくも体の各部のいずれかをかなり失い、生あるうちに苦しみに死んだのかと想像されると、僕は自分の目頭を押さえずにはいられませんでした。ですが乾ききった砂では一時的に弔ってあげることすら出来ません。彼らの死を称え報いつまり先へ進むが、そのときその場にあるものの生なのです。
     我が軍の前線部隊が一旦撤退し現在はにらみ合いの状態だったのでしょうか、激戦の間隙を縫うことに成功したのかもしれません。敵陣には難なくたどり着いたのでした。一時は強かった風も急に収まり、戦場を炎熱と死臭の坩堝と化していた太陽さえも静かな暗雲に身を隠しました。この人生の最後に向けて自然でさえ、なにかその活動を遠慮しているかに思えたほどです。




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