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    小説メモ(イメージとしての習作)【2】宛先のない手紙~3





    (945字)
     僕は当然死ぬ覚悟でした。こちら方の劣勢は村長の重い口取りや、近所の主婦がする会話の端々からも、またこの場の味方らしき死体の数でわかっていましたから。
        腰に巻きつけた手榴弾のピンを外し、その塊を敵の総指令として指揮を執る、隣村の村長がいる本部に目掛けて投げつけました。遮蔽物のないきれいな空に放物線を描きやがてボトリという音を立て、たった数秒のはずですが不気味なほどの沈黙は随分長く感じられたのです。そのとき遠くで、群れを作って南を目指す数羽の渡り鳥らしい鳴き声がしました。なんだか可笑しなものですね、人間の争いなどどこ吹く風といった具合に本当に平和そのものの声なのです。しだいに鳥達の群れは遠ざかり、その声も空に反響して消えてしまい……。
     やがて沈黙を打ち破る炸裂音と同時に本陣の壁は瓦解し、そこから中が見えたのです。とはいっても中は煙が立ち込めていたので僕は陰からしばし様子を窺い、期を見て突入することに決めました。近くにもぬけの殻のトーチカを見つけたので、まずはそこに隠れることにしようと。
     五分もじっとしていたでしょうか。少しのあいだ目を離していた僕は再び崩れた敵本陣の壁の穴から中をのぞこうと、自分の隠れているトーチカから首を伸ばしました。次の瞬間、首筋に冷たく硬いものが押し当てられたのです。僕は観念しました。父よ、すいませんでした。力ない息子を許してください。ただ、これで勇者の末席です。誇ってください。それから、村のみんな、先にいっているぞ。

    『その後敵陣に連れていかれました。一気に処刑されるのか、残忍な隣村の連中にふさわしくじわじわと殺されるのか。腹を決め黙ってなにも喋らずに殺されようと、死んでいった彼らに誓いました。敵軍の中の一人、おそらく隣村の村長である男はゆっくりと背後に回ってきました。恐ろしい男だとは噂に聞いていましたが、そのときばかりはなんの恐怖心もなかった。そいつに殺されるのです。こちらの手を取り、縄によって縛られた部分を丹念に調べ始めて。やがて、……彼の手によって紐を切られて自由にされ、なんのつもりだろうと訝っていると周りの男達が僕を囲み脇を抱えて持ち上げたのです。そして村長は顔をこちらに近づけこんなことを言い放った。「……もう、終りにしたいんです」僕は――』




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