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    夢見【1】臭気○○器(了)


    (2559字)
     私はちゃんとした現実(夢の外側)の私の姿として存在している。とりあえず最初に、切り立った断崖に四方を囲まれた大きな窪地を見下ろしている。
     そこには数人がいて、相手を見つけた同士での殺し合いがすでに行われているようだ。大体は互いの力が拮抗しているが、なかには自分より弱い相手を拒否させずに一方的に選び、痛めつけ、時間や抵抗の差内容の違いこそあれ、最終的に負けた方は必ず命を奪われた。しかも、どれもこれもものすごく残酷な殺し方だった。
     次第に身体を動かせなくなりうなだれふらついている相手を、その場でサンドバッグのように痛めつけている場面から最期に至るまでの、一連の流れがイメージとなって少しだけ伝わってくる。非常に残酷で目を背けたくなる。岩壁の上では肉の切れる音や潰れる音も聞こえ、「胸くそが悪くなる」と吐き捨てる気分で口にしたか、それとも思ったかどっちかだった。
     
     場面は一転する。私はどこかの家の中にいる。見覚えはないが、どうやら現在いる場所は自宅らしいということが次第に分かった。そこは狭く、かつてアルバイトをしていた飲食店を彷彿とさせた。ほとんどあばら家のような感じで、部屋から部屋への通路というものが狭く、天井が低い。ところどころが脂っぽくべたべたしていて気持ちの良い場所ではない。
     父親がいる。実際の(夢の外側の、つまり本当の)父親ではない。母親はこちら側の本当の母親に似ている。

     電球が切れたということで買いに行く。父親にそれとなく言われている。60W100V(実際の家で使っている電球よりも少し大きめな電力消費量だ)を買いに近所の電器屋へ。帰ってきた私は家の電球を換えなければと手を伸ばしたが、切れかかった球もソケットもべたついていてどうにも気持ちが悪い。あまり触りたくないと指先でつまむようにしながら、仕方がないと自分に言い聞かせ我慢して交換は済ませる。
     何故か600円くらい持っていて、300円を親に渡す。仕事をしたつもりになっているものの、何をしたのか本人も知らない。
     親は私から300円を受け取り、それしかあげられなくて悪いという言葉に対して「1クロアチアで定食が食べられるから300円でも充分」と返す。『1クロアチア』とは100円の100分の1の価値になるそうで、つまり1円で定食が食べられる計算になる。

     私は街に出て1クロアチアで定食を喰おうとするが、売り物はいくつか確認した限りでは日本円で売られていた。何軒か見て回ると、定食屋の食べ物の値段は80円から130円くらいとかなり安くは感じられるも、現在の所持金は300円しかないのだ。それに第一空腹ではなかった。
     さらに歩いていると、いくつもの店舗が並んでいるにぎやかな通りが突然現れる。一番手前にある店は宝飾品店らしく、少しショーウィンドウを覗いてみることにした。宝石やネックレスが大体600~2000円、扱っているものはもちろん本物。店々が並ぶ様子は、夜店と商店街をごっちゃにした感じと言ったらいいだろうか。いつの間にか髪の長いメガネをかけた男を見つける。
     そいつはあの、陰惨で目を覆いたくなるような殺し合いの場所(自分の中でのイメージはバトルロワイヤル? しかしもっとやりきれないのは、殺す側は小さな虫を踏み潰すほどの無意味さで、殺される側は最初狂乱の勢いで泣き叫び、やがて鈍麻した感情が身を静かにふるわせているところで息の根を止められる)に、もう一度連れて行ってくれるのではと私ははたと気づき、彼の後を尾けることにした。あの場所に行ってもう一度だけ、何かを確認しなければならないのだ。そのときには誰だかは分からないが友人が一人、自分の脇にいた。……IかFか?
     
     メガネの男を追いかける。街中をうろつく姿は突然小さな交差点の先に現れたり、ピンク色の三角屋根に古びて電飾の切れかかった看板を掲げるパチンコ屋の脇、郊外型のドライブスルーが併設された飲食店の、従業員がバックヤードへの出入りや搬入のために使う通路、――ひと一人がようやく通れるくらいの細い道を歩いていたりした。それらは生暖かく喉に絡みつく嫌な蒸気の出ている、薄暗い汚れた場所だった。最初は夕方で、夜、夕方と変化していく。いつの間にか彼はどこかの店の勝手口の前に立っている(おそらくパチンコ屋)。
     こちらから見て一番手前にはパチンコ屋の景品交換所にも見える小屋。すぐ横に、『臭気○○器』という鉛色をした簡易焼却器が備え付けられ、金属製の箱の天板部分には適当に後から溶接されたであろう煙突がついていた。接合部分が変に歪み、傷痕みたいに盛り上がっている。
     大人一人が入ればいっぱいになりそうな『臭気○○器』の中にメガネの男が入り込んだと思い、私たちは後を追いかけなければと近くにまで駆け寄る。彼が紙のように身体を薄くし、中に吸い込まれながら消えて行った姿が頭に浮かんだのだった。ふと何か騙されている、何かがおかしいと頭によぎり、特にああいった場所に人を連れて行こうとしている人間は残酷な奴に決まっているからと、中に入るのを躊躇う。
     元々興味本位で後を尾けていたのだ。自分はあまりにも深追いしすぎているのかもしれない。

     すると細身のメガネ男はパチンコ屋の横の道から出てきて、「そこに入ったら死んでたよ」と言い残して消える。『臭気○○器』に押し込まれ身動きが取れず、泣き叫びながらゲロを吐いたり血を吐いたり、臭気に蝕まれながら無残に死んでいく姿が目の前にありありと……。危険で分厚い灰色の空気が空間を満たしていくさまが真っ赤な背景を伴って映る。
     友人が犠牲者になる運命だった、かなり高い可能性を退けたのだ。彼が泣き叫びながら助けを求めて来ても、こちらにはどうする手立てもないという光景が頭に浮かぶのだった。額に汗が吹き出し涙目になって狼狽えるだけの自分。もしそんなことが本当に起こったなら、私は例の男を、何があってもどんな手を使ってでも絶対に見つけ出し、絶対に殺すだろう。逆の立場なら同じことをすると友人も思っていた。




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