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    エッセイ(雑記)【4】ヨッチャンと不良こども~2(了) 修正版





    (1066字)
         校長に対して多少でも小学生が負の感情を持つこと自体がかなり珍しく、具体的に何かを言われたり、あるいは新任の校長にいきなり目をつけられるくらいの悪ガキだったのだろうか?
     彼が相当の札付きであったととしても所詮は小学生である。どれほどクラス内で粋がってみせようが、やはり特に大人側の教師からは子供の悪ふざけ程度にしか映らないわけだ。
     しかし、学校の中で最高の権威を持つ校長をあえて「ヨッちゃん」などと軽々しくあだ名で呼ぶとき、実は一見親しみの感じさせる呼称の裏に校長の個的な人格に直接触れることを期待する、いわば一線の踏み越えといった彼の密かな企みがそこに発揮される。立場や権力によって虚飾された権威の一部分を剥ぎ取り、自分と同じ一人間にまで引きずり下ろし相対化し自らに近づける。
     その結果、期せずして周囲の児童からの「恐れ知らず」という評判を手にすることが出来る。また教師は恐慌や腹立ちよりさらにも、自分が全てを把握し調整、操作可能な、どこまでいっても所詮子どもという枠を半歩でも踏み越えた者に対し、実際には全体像を掴み切れていないと思い知らされたことへ、根源的な気味悪さを覚えたのではないか。つまり彼という児童から提出された、無力な付き従うのみの存在として規定した大人への、一つの反抗の態度だったのではなかったかと私は見て取るのだ。
     あくまでも憶測、というよりかは現時点の私から見た面白がりとしての視点であり、それにしても彼をある意味で買い被り過ぎといえるかもしれないが。
     確かにいくらかの子どもでは社会の強固さを知り驚かされると同時、自らの無力さとの兼ね合いからそれを無視するか認めないか、または理解が及ばないままではあっても脊髄反射的な、あるいはもう少し根源的な要請からとりあえずの、しかし止むに止まれぬ攻撃性・嫌悪を代表的とされる対象へ向けることもある。余程こじらせない限り、そう遅くない時期に誰もが悟らされるにせよ。

     大体彼と私にどんな関係があったのかを全く憶えていない。そういえばそれが行われた場所は、確か人気のあまりない校庭の裏側だったはず。学校を囲う壁とグランドの間には緩衝地帯のような小さな森があり、そこを訪れると静かで気持ちが落ち着く場所というわけでも全然なく、むしろ日中は鬱蒼とした木々に日を遮られ昼間でもただ薄暗い、少しばかり陰気な感じのするところだった。
     中程まで行くとちょっとした庭園風の小さな池があるのだが、欄干のない古びた石橋が架かった袂近くでの出来事だったと思う。一度あったきりで、以降声を掛けられたこともない。




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