スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    タイ旅行、後日まとめ記【6月30日】~8





    (1790字)
     ところでエアコンの脅威に晒されているのはみんな同じでした。今走っている場所が熱帯の国だとは車内からでは全く感じられないくらい、この体は熱病にうなされる患者さながらに震え、かすかに窓に伝わる外気の暖かさを頼りにそちらに出来るだけ凭れ掛かっていたのです。次に一つ右側、つまり最後部座席の真ん中に座る乗客は私以上に肥えた女性とあいなります。
     バス旅行(!)中に最も肌を多く接触させるわけで、それが好みのタイプとまではいかなくとも……。いやいや、容姿のことはともかくとして、車中に占める彼女の面積が他乗客一人あたりの平均を超えていることで、車体が左右に揺れるたび、汗が引いたとはいえべたついたお互いの腕を幾度も引っ付け、相手の様子を窺った上で恐縮しいの引っ込めなければならないのがなんと最早なのです。
     しかし隣りの女性には劣るとはいっても、こちらも決してスマートな体型をしているわけではありません。自分がそのように思われる次の役割交代が無いとは言い切れないと考えるならば、早々簡単に件の女性を非難する行為は自らの首を絞めることにもなりかねないと、無理やり納得させたのです。
     バスも出発して数十分が過ぎたあたりには同乗者への観察も一旦終わり、身体を縮こめ外の風景を見るともなしに眺めていました。ですが、しばらくしてまたカーブへ差し掛かった際、その勢いで身体が一方へ寄せられ腕同士がべたりとくっついてしまったのです。ミニバスの狭さにうんざりしつつも隣の女性へ余計な他意の与えない感じに(やり方によっては失礼に当たるかもしれないので)そっと離しました。

     一人忘れてました。一番最後の紹介になりましたが、後部席右端の乗客はこれまたマレー系の若い女性です。この地方の人がまず表面に育てる明るさは確かにありながら、しかし同時に私が想像し期待をしもする、また漠然と知る独特の甘く憂いた雰囲気、それらがない交ぜになったもの。車内照明の加減で青黒い女性のその肌へゆるやかに纏っているのでした。
     右側(彼女にとっては左側)の豊満な女性とは終始にこやかと話す一方、ほかの人物の会話にも興味ありげな顔を向け時々はやや早口気味で話へ参加したりもするのでした。また次々に通り過ぎる窓からの風景が如何にも物珍しいと言いたげに、新しい刺激に対し反応が良いというか良過ぎるくらいでして、何かが耳に目に入るたびやたら気を取られてみたりもするのですね。まるで小さな子供であるかの落ち着かなさで絶えず視線を方々へやり眺めているのです。
     そういった点からも少しばかり年齢不詳系の彼女。豊満な女性とは親子なのだろうかと思ってみたりもしましたが、やはり傍から見ているだけでは分かりません。
     
     以上の人々と小さなミニバスに乗り込みマレーシアの国境へと、そしてその先のまだ見ぬ異国の地へ様々な気分やら目的やらを乗せては、エアコンをガンガンと効かせながら疾走していくのでした。
     途中イミグレーションで止まり、少額のタイバーツを運転手に渡し我々もすぐに同乗者に続いてバスを降り入国管理所へ。管理事務所の窓越しに職員が審査用の紙、さらにもう一枚何かの紙を渡してきたのです。数秒遅れて到着した相方は私が受け取ったことだけ一旦確認すると、碌にそれに手をつけようともせずに遠目で眺めているだけでした。
     結局馴れた手つきで入国手続きを済ませた同乗者は先にバスに戻り、やっと手をつけ始めた私たちは彼らをだいぶ待たせてしまい、辞書をバックパックの底から何とか引っ張り出し、書類に示されている項目を一言ずつ調べて穴を埋めていったのです。相乗りの乗客に申し訳ないような、何よりも彼に腹立たしい気持ちでしたが、そんなことを言っていられる状況ではありません。
     当てをつけて辞書を引いても理解出来ない箇所がいくつかあり、記入出来ずに悩んでいると彼は横から顔を出しガムを噛み平然とした顔で、「別に気にしないで出してみよう」と言い放ったのです(こう書くといかにも私が悪感情を抱いている風に聞こえますが、確かに事実こういうことがありました。例の炎天下での迷子も多少しこりとして残っていたとは認めないわけにはいきませんけど)。
     その態度にはかなり不満があって、同時に待っている人たちのことを考えると、いえ、本当は彼らに対してよりもバスが行ってしまうのではないか、実はそれが一番心配だった自分のことは棚上げにして……。




    [貴方の応援が励みになります!!]

    エッセイ・随筆ランキングへ
    にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
    にほんブログ村
    関連記事
    スポンサーサイト

    テーマ : 旅行記
    ジャンル : 小説・文学

    天気予報

    -天気予報コム- -FC2-
    プロフィール

    Ununz

    Author:Ununz
    Ununzです。自作小説・エッセイ・他雑文・ 夢日記・旅行記を発表していきます。御用の方は[junejulyonline55@gmail.com]か、ページ下部にあるFC2メールフォームからお願いします

    なおリンクを随時募集しております。相互リンクを御希望の際はカテゴリ【リンク関連】へコメントを頂ければ助かります

    ランキングに参加しています
    まだまだ、もっと大きくなります。これからです
    最新記事
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    全記事表示リンク

    全ての記事を表示する

    お気に入り 修正版
    登録&ひろがるリンク(BlogPeople用)
    ブロとも一覧
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    メールフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    CustomRssReader
    村内回覧板
    QRコード
    QR
    カウンター
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。